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第二章・2

 食後は風呂に入り、さっぱりしてから勉強だ。  秀也は自分の部屋で一人になり、ようやく落ち着きを取り戻した。  やはり弟とはいえ、他人と合わせて暮らすことは、相当ストレスになるようだった。 「おかしいな。この問題、前にも解いたはずなのに」  簡単なはずの問題にも、つまずいてしまう。 「よく見てよ。Aに代入する公式、分母が+になってるよ?」 「あ、そうか。……って、えぇッ!?」  秀也にぴったり寄り添うように、風呂上がりの茉理が立っているのだ! 「勝手に人の部屋に入って来るな!」 「だって、兄さんのこと気になるんだもん」 「俺の何が気になるんだ?」 「ちゃんと勉強してるかな、とか。お夜食いるのかな、とか。一人エッチしてないかな、とか」 「するか!」  え~、しないの? と茉理は不満げな声を上げた。 「僕はしたよ。お父さんに貰った兄さんの写真見て、素敵な人だな、って思って」 「ちょっと、待て」  茉理! お前は! お前という弟は! 「あったことも無い俺の写真をオカズに、抜いたのか!?」 「ダメだった?」  あまりにもあっけらかんとした茉理に、秀也は脱力した。

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