73 / 96

第九章・5

「んっく、んんぅ。んぁ、んんッ、はぅ。うぅ、ん……」  唾液の水音と茉理の甘い声が混ざると、とんでもなく興奮してくる。  秀也は、先漏れの体液を零した気配を自分に感じ取っていた。 「茉理、そろそろヤバいかも。もう、やめるぞ」 「ヤだ。僕、兄さんの、飲みたい」  バカ言うな、と秀也は焦った。 「汚いぞ。いいから早く、手と口放せ」 「んぐッ。兄さんのなら、汚くないもんね」  とどめとばかりに、茉理は舌腹で大きく秀也の裏を舐めとった。 「や、ヤバい。出る! 茉理、出るからッ!」  焦る秀也とは逆に、茉理は落ち着いた動作で大きく膨れたペニスを咥え込んだ。 (これで、袴田さんとのことは忘れられる)  初めて飲まされた相手は、思い出したくもない悪党だ。  茉理は愛する秀也の精で、忌まわしい記憶を上書きしたかった。

ともだちにシェアしよう!