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第1話

新居に行くと用意されていたのは 学ランだった 今までブレザーしか着たことが無いから新鮮すぎたけど 今日からはこれが制服らしい はぁ、と重い足を引きずって 職員室に向かう 校門に入った途端から すぐに引き返したくなったけど そうは行かず ゆっくりと歩を進める 不良学校とは聞いていたけど 校舎の中も落書きだらけで テレビでしか見たこと無い光景だけどこれが日常になるのか そんな事を考えていると 「テメエ、見ない顔だな」 と、いきなり絡まれた 本当にこんなことあるんだで ひ、と喉の奥が恐怖で引きつりそうになったけど 怖いなんて言ってられない なぜなら俺はこの学校を更生しに来たんだから ぞろ、と3人に囲まれて 「すっげー弱そうなやつ」 「お前何組だよ」 「中学生じゃねえの?」 と、好き勝手言われる 違うのに、とちょっとむすっとすると 気に触ったのか バキバキっと指をならす不良っぽい人たち 「一回締めとかないとなー?」 「うちはパシリ禁止だけどよ。おこずかい制度ならいけんじゃねえの?」 あれ、これカツアゲってやつかも ケンカとかした事ないけど これは初めてのケンカをしてみないと行けないんじゃないのかな 「おいオメェら!何やってんだ!」 と、不意に後ろから声が聞こえて振り返る 「日向!だってこいつが」 「弱い者いじめはかっこわりいからやめろって言ってんだろ?」 「ちぇー。行こうぜ」 と、あっという間に蹴散らした お礼言わなきゃ、 「お前1年か?」 『ちがいます、2年』 「それにしては見ない顔だなー?」 『今日からだから』 「おお!転校生か!名前は?」 『藤紗雪、』 「雪な!よろしくな!同じクラスになれるといいな!お前トロそうだから俺が守ってやるよ 」 あれ、この人 失礼だけど 雪じゃなくて紗雪だけど… ヤンキーだけど すごいいい人じゃん 『そんな弱く無いのに』 「まさかお前強いの?俺とやるか?」 『無駄なケンカはしないから』 本当はケンカなんて、した事ないけど 「なんだよ、無駄って。いいだろ、手合わせぐらい」 『職員室、いくから』 「おお、いいぜ。案内してやる」 と、本当に案内をしてくれた やっぱりいい人じゃん、ヤンキーのくせに この人と一緒にいると無駄に絡まれる事も無いし 無事に職員室について ちょうど2年に上がる時に1人抜けたクラスがあって そのクラスに入る事になった 「み、皆さん、このクラスに転校生が入る事になりました」 と、先生がおどおどしながら紹介をしてくれる 「あー!お前やっぱりこのクラスだったんだな!」 と、先ほどのヤンキーなのにいい人 「また可愛いやつが来たなー!お前本当に男か?」 『は?な、んだよ』 なんだよ、いきなり! やっぱり男子校ってそういうのあるのかな? 半分くらい寮生らしいし 「前このクラスにいたやつがな、すっげー足速いしドッジボール上手かったけど女だったんだよ」 『は?』 なんだよ、その話って思った ドッジボールの上手さそんな重要か? しかし、 「朱里の話はすんじゃねえ」 と、言うさっきの人の声で ぴりっとした空気が流れた なんだ、朱里って 先生がさっさと教室から出て行ってしまって どの席に行けばいいかわからないから 適当にさっきの人の隣の席に荷物を降ろした 『ねえ、なんて名前なの? 』 「俺か?」 『うん。なんて名前なの?』 「蔵前 日向、日向でいいぜ」 『日向くん』 「なんだよ、くんなんて付けなくていいぜ、呼び捨てで」 『いや、馴れ馴れしいかなって、いきなりは』 「馴れ馴れしいとかねえだろ、クラスメイトなんだしって、なんだ、お前」 『 なにが? 』 「いや、こっちの話。よろしくな」 『よろしく』 と、日向と握手をした時だ 「なぁ、そこ俺の席なんだけど」 と、ヤンキーみたいな人に言われた いや、クラスの4/5ヤンキーだった 『前が空いてるよ』 と、教卓の目の前の席を指差してやる 「はぁ?」 『ここがいい。だめ?』 と、首を傾げて聞いてみた 「しょ、しょうがねえなー」 よし、とその席のキープに成功した 「なあ、なんでお前こんな時期に転校してきたんだ?」 『この学校を変えるために』 「は?」 「 お?頭狙ってんのか?そんなナリでよお 」 と、クラス中の視線が一気に集まった 手には確実武器を持ったり ポキポキと鳴らしたりしている 頭狙うって、変な表現だと思った テストの学年1位狙うのに 頭が狙うって…さすがヤンキーだな、みんな みんなの言葉に合わせた方がわかりやすいと思った 号に入っては郷に従え だ 『そうだよ、ここの頭狙いに来た』 と、みんなの言い方で伝える 「へえー、おもしろいじゃん。じゃあ早速勝負だな。放課後中庭に来いよ」 と、にやりと笑って立ち上がる日向 『日向が頭なの?』 「おう。今はな」 今は、なんだ じゃあ、日向に勝たなきゃ 放課後、一緒に勉強でもするのかな?

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