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第3話 初めてのお仕事?・7

「勝手に感じてんだろ。那由太、上も下もビンビンに勃ってるじゃねえか」 「やあっ、……あ……」  刹がベッドに片足を乗せ、真上から俺の顔に寄った。 「欲しけりゃ言葉で訴えろ。本物の猫と違ってお前にはそれができる」 「あ……あ、刹……」 「なんだ?」  カメラを下げた刹の爛々とした目。まるで真上から俺の心臓を貫くような、鋭く力強い黒ヒョウの眼光──。 「お、俺……。俺、イけない、……自分じゃ、無理ですっ……」 「それで?」 「あ、う……」  ──触って欲しい。昨日みたいに口で思い切り吸い上げて欲しい。  そんなこと口が裂けたって言いたくないのに。刹の視線に逆らえなくて、他にこの熱を冷ます方法なんか思い付かなくて……。 「せ、刹……。俺の、触っ……」 「刹~、那由太~。お昼できたよ、高菜たっぷりのチャーハンに、那由太のデザートはクレープ作ってあげるよ!」 「っ……!」  開かれたドアから炎珠さんが飛び込んできて、刹はベッドに片膝をつき俺を覗き込んだ恰好のまま、そして俺は股を開いて自分のそれを握ったまま──固まった。  * 「あはは、ごめんごめん。良い所で邪魔しちゃったね。……ていうか俺がいない所で二人だけずるいよ、二人に浮気された気分」 「………」  縮こまり真っ赤になった俺は頭に猫耳帽子を被せたまま、もくもくと炎珠のチャーハンを口に運び続けた。  突然の炎珠さんの乱入で現実に引き戻された俺は、すんでの所で刹に「お願い」せずに済んだのだけれど。結局、屈しそうになってしまった自身の欲深さをなかったことにもできず、しれっと昼飯を食べている刹と向かい合っている今……非常に気まずい思いをしているのだ。  刹は俺の気も知らずにスプーンを咥え、炎珠さんを睨んでいる。 「お前が来なければ那由太を手懐けられたのによ」 「だから謝ってるじゃん。それとも何~? 刹ってば自分だけ那由太のこと独り占めしたいってこと? 那由太に惚れちゃった?」 「頭沸いてんのかてめぇ」  ニヤニヤ笑う炎珠さんと、呆れたように溜息をつく刹。この二人の間にどんな絆や信頼関係があるのかは知らないが、どちらも普通でないことだけは確かだ。  そんな二人に巻き込まれてしまった俺も、そのうち普通じゃなくなってしまうのだろうか。

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