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第5話 お客さんが来る!・5

「それよりさぁ、那由太はもう二人とセックスしたの?」 「えっ?」 「甘やかしたい系の炎珠さんはともかく、刹っちゃんとはした?」 「し、してないよっ。何言い出すんだよ急にっ……」  真っ赤になって否定する俺を見て、信じられない、と華深が大袈裟に驚いてみせる。 「だってもう十日くらい経つんでしょ? なのにまだセックスしてないの?」 「……それって、そんなに変なこと? ペットの合意がないとしたらいけないルールなんだろ」 「そうだけど。那由太はご主人とセックスしたくないの?」  冗談でも何でもなく、華深は本気で俺にそれを訊いているようだ。 「そ、そんなこと急に訊かれても」 「だって、本番行為以外のことは一通りやったんでしょ?」 「……うーん」  俺だって男だから、そういうことに興味がない訳じゃない。現に以前体を触られた時、俺は大した抵抗をすることもなく刹と炎珠さんのそれに感じまくっていたのだ。 「………」  あの時のことを思い出せば、今でもすぐ顔が熱くなる。  だけどセックスって……つまりは男同士の場合、……尻を使うということで。 「む、無理無理。そんな、ケツにモノを入れるなんて絶対無理っ」 「分かるよその気持ち、俺も初めはそう思ってたからさ。でも実際やってみると普通に気持ち良いし、ご主人から愛されてるって感じがして凄く幸せな気分になれるよ」 「信じられない話だなぁ……。そもそも、痛そうっていうイメージしかないし」  華深が枕に頬擦りしながら、目を細めてくすくすと笑った。 「初めての時はご主人のテクニック次第だけど、二回目からはきっと癖になるよ。──那由太知ってる? お尻の中にさ、男にしかない超気持ち良い性感帯があるの」 「前立腺のこと?」 「そうそう、お尻の中にある×××の根っこの部分だよね。……あそこを栄治さんの太くて長い指で、ぐりぐりってされるともう、……もう」  仰向けになった華深がうっとりと目を閉じ、何かを思い出したのか「はふ」と心地好さげに息を吐いた。 「そ、そんなに気持ち良いの?」 「あれは実際に体感しないと分からない良さだよ。そこは勿論気持ち良いし、俺は奥の方までグッって押してもらったり、浅いとこ何度も擦ってもらったりするのも好きなんだけど」  華深が何を言っているのか全く分からないが、その赤面顔を見れば相当に気持ち良いのだろうなということは伝わってくる。 「……でもそういうのって、普通は恋人同士でするモンなんじゃないの? 俺達はペットなんだろ」 「那由太。俺達はご主人のパートナーだよ」 「パートナー?」  身を起こした華深が俺の方へと顔を近付けてきた。鼻先が触れそうなほどの距離に思わずドキッとしてしまう。 「そう、生涯のパートナー。恋人よりずっとずっと深い絆で結ばれる」 「……わ、分かんないよ。恋人は別で作るけどペットのことも好きってこと?」 「そういう浮気っぽい感じではないなぁ……多分まだ、俺達の立場に対する正式名称が無いんだろうね。とにかくペットって呼ぶしかないんだけど、単なる主従関係じゃないし性欲の処理相手でもないのは確かだよ」  それって、恋人とどう違うんだろう。益々意味が分からない。

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