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第8話 炎珠ご主人の謎の性癖・2

「涼しそうで良いでしょ。似合ってるし可愛いよ那由太」 「確かに涼しいですけど、裸エプロンは服じゃないです。プレイ用の衣装です、……って、うわあぁっ!」  いきなり刹が腰に抱き付いてきて、尻に頬擦りされた。 「冷えたケツ、すげえ気持ち良い」 「やめて下さいよっ!」 「あはは、セクハラし放題だね」  セクハラもそうだし、エアコンの効いた部屋でこの格好は逆に凄く寒くて風邪をひいてしまいそうだ。 「……気持ちは有難いですけど、流石にこれは普段着として着ていられないです。もう少し布面積の大きい服じゃ駄目ですか?」 「そっか。あとは夏のふりふりメイド少年と、ふわもこ猫耳付きのオールインワンと、もふもふミニワンピースとかなんだけど」 「………」  揃いも揃って炎珠さんの趣味丸出しだ。俺がまだ子供だったら何の疑問も持たずに着ていたかもしれないけれど、流石に二十歳を越えてこれらを普段着として着るのには抵抗がある。 「お前の少女趣味は昔から変わってねえんだなぁ」  床にあぐらをかいた刹が呆れたように言って、テーブルに頬杖をつく。 「でもまあ確かに、コレ着て外出はできねえだろうから。家の中でくらい着てやってもいいんじゃねえの」  刹に言われて、俺は仕方なくその中の一着「もふもふワンピース」を手に取った。 「見た感じ可愛いのは分かるんですけど、俺が着るとなると……。炎珠さん、自分では着ないのにどうしてこういう可愛いのが好きなんですか? 服だけじゃなくて、俺の部屋もそうですし……」  好きな相手を可愛い物で囲みたいという、炎珠さんの変わった癖。俺は未だにそれがどういうことなのか理解できずにいた。  本物のペットに可愛い服を着せたり、我が子を親の趣味で着飾らせたりと、良い悪いは別としてそういう気持ちはまだ分かるのだけれど。炎珠さんのは、それとはまた違う気がする。 「うーん……。やっぱり那由太は男の子だし、可愛いよりもカッコいい方が好きなのかなぁ」 「カッコいいよりも無難、な方が本当は良いんですけれど……」 「那由太が嫌がることはできないってPdMCの規則だから、無理に着ることはないよ。……ごめんね、俺初めて可愛いペットをお迎えできて、ちょっと舞い上がってたみたい」 「……炎珠さん?」  床に並べた服をまとめて抱え、炎珠さんが「作るのはどういうデザインなら気に入ってもらえるかなぁ」と呟いた。 「あ、……」  そのままリビングを出て行く炎珠さんの背中はどこか寂しげで……。もしかしたら俺は、知らないうちに炎珠さんを傷付けてしまったのかもしれない。 「ど、どうしよう。悪いこと言ってしまったかも……」 「大丈夫だろ。あいつ超絶ポジティブ人間だし」  俺は手に取っていた「もふもふワンピース」に視線を落とし、その真っ白で可愛いデザインに小さく息をついた。 「……刹は知ってるんですか? 炎珠さんがこういうのを好きになった理由」

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