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第10話 ご主人の声には反応します、ネコです・4
「刹っ……、あ、もう俺っ……!」
〈そろそろイきそうか。──あ〉
「な、何……あっ、無理もう、イくっ──!」
〈那由太っ! 俺にも聞かせて!〉
射精と同時に炎珠さんの怒号にも似た声が飛び込んできて、俺は朦朧としながらも心地好い陶酔感に浸った。
〈那由太、イッたの? 今イッた? どうだった?〉
「は、あ……炎珠さん……?」
〈自分だけ気持ち良くなってずるいよ、刹っ!〉
〈うるっせえ……耳元で騒ぐな〉
〈あぁっ、もうすっごい飛んでるし……! ていうか俺だって那由太と電話でエッチしたかっ──〉
プツッ。ツー、ツー、……。
「………」
通話の切れたスマホを片手に、俺は自分のそれを握りしめて深呼吸をした。向こうは最後てんやわんやしていたけれど、炎珠さんの言葉に一つの事実を見出して思わず頬が緩んでしまう。
──刹も俺と一緒にしてくれてたのか。
「はぁ……」
気恥ずかしい中にも確かな嬉しさがあって、俺はソファから体を起こした。
と、──
「………」
「………」
「……え」
リビングの入り口に立っている幸嶋さんと華深。
呆然と俺を見ている幸嶋さんと、ニヤニヤ嬉しそうな顔の華深。
下半身丸出しで萎えたそれを握っている俺。
まだ拭っていない体液。
「っ……!」
瞬間的にそれらを理解し、秒で沸騰する俺の顔面──。
「う、あ……」
「那由太、お風呂次どうぞ!」
華深が満面の笑みで俺に言った。
「ちゃんと洗わないとだめだよ。既に脱いでるパンツもそのままにしないで、洗濯カゴの中に入れておいてね!」
「うわああぁぁ──ッ!」
俺は絶叫と共に脱いだハーフパンツと下着を引っ掴み、二人の横をダッシュで通り過ぎ浴室へ駆け込んだ。
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