82 / 114

第12話 にゃん太と秘密のお菓子・6

 一週間後…… 「よーし、今日は第二回映画ナイトです!」 「みんなお風呂は入ったし、幸嶋さんからチョコはもらってないし……。あとは刹チョイスのDVDとスペシャルピザが届くのを待つだけだね!」 「先週の映画ナイトは俺達三人とも全然記憶がなかったですもんね。きっと始まってすぐ寝ちゃったんですよね」 「今日はちゃんと眠くならないようにエナドリも用意してあるよ~」  流石は炎珠さん。同じ失敗は二度としないという信条の持ち主。 「おう、DVDとピザ買ってきたぞ」 「おかえり、刹!」  アツアツの巨大シーフードミックスピザ。ラージサイズのジンジャーエールとコーラ、細切りの山盛りポテトフライ。冷凍庫にはチョコアイス、眠気覚ましのエナドリも。  部屋の明かりを暗くすれば、いよいよ今度こそホラー映画ナイトだ。 「刹、ビール飲まないの? 炭水化物とビールほど合う物はねえって、いつも言ってるじゃん。俺、注いでこようか?」 「いや、……今夜はコーラの気分だからよ。ピザにはコーラだろ」 「そっか。俺はジンジャーエール!」  ストローを咥えてにんまり笑うと、横から炎珠さんが俺の頭を撫でてくれた。 「そうだよ、那由太は那由太らしくジュースと甘いお菓子を食べていればいいんだ。お酒なんて苦いものは飲まなくていいんだよ」 「そうですか? 子供っぽくないですか?」 「ううん。俺だって飲めない訳じゃないけど、そんな好きじゃないしね。そういう場所でちょっと口にする程度で、やっぱりジュースの方が好きだもん」  炎珠さんが言うなら間違いない。  俺は嬉しくなってストローをすすり、喉をしゅわしゅわ通り過ぎて行くジンジャーエールの甘さと心地好さを楽しんだ。 「よし、そんじゃそろそろ部屋の明かり消すぞ」 「あ、ちょっと待って刹」  刹が電気のリモコンを取ったと同時に、炎珠さんが声をあげる。 「俺、そもそも自信ないからエナドリ買ったんだった。寝落ちしたくないから早めに飲んでおこうかな」 「それなら俺、取ってきますよ。ちょうどタバスコも持ってこようと思ってたし」 「ありがと那由太。冷蔵庫の下の段に入ってるからね」  カウンターの向こう側へ行き、大きな冷蔵庫を開ける。  CMでよく見るドリンクもあったけれど、中には見慣れないラベルの栄養ドリンクもある……これは刹が仕事中に飲んでるやつだったっけ? 「一番眠気覚ましに効くのは……」  一瓶でガッツリ!一晩スッキリ! というキャッチフレーズが書いてある瓶のドリンクを手に取り、念のため俺も飲んでおこうとその場で蓋を開けた。 「那由太~、瓶のじゃなくて缶のでいいからね」 「え? 何か言いました?」  ごく、ごく。ごく。 「瓶のは精力増強剤だから、今は必要ないよ~なんちゃって」 「………」  ……ぶわっ。 ~そしてループへ!~

ともだちにシェアしよう!