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第2話

 あー、あー、と、さっきから喘ぎ声が機械的になっていることは分かっていた。ギシギシ軋むベッドの方がよっぽど、情感のある音を奏でている。  相手はこっちのことを穴だと思っている。だからこっちも相手のことを棒だと思う。そういうセックス。生理現象。だってしかたない、オメガには月一回、発情期ってやつがあるんだから。発散しないと。  しかしこの現象を発情期、って名づけた奴は天才だ。発情、ってもはやオメガを人間扱いしてないもんな。いや上等。その方がひらきなおって獣になれる。オメガには発情期がある。だからこんな風に乱れてしまってもしかたない。でもそれがないアルファさまが理性吹っ飛ばして腰振ってる、って、そっちの方こそ獣なんじゃないんですかね。優秀なアルファさまだったら理性で性欲、抑え込めるんじゃないんですか。 「あー、すっごい……ねえ、聞こえる? ここから、すっごいやらしい音してんの」 「やだあ」 「やだあ、じゃないよ、ほら、ちゃんと聞いて。すっごいぐちゅぐちゅいってるでしょ」 「いってる……っていうか、いわせてるじゃん……」 「君がこんなに溢れさせちゃうからだろ。自分の方から腰押しつけてきてるくせに何言ってんの。まったく自覚が足りないよなあ」  そして呆れた風を装って一旦引き抜くと、テンプレ化された卑猥な言葉を言わせようとしてきた。「ごめんなさい、いやらしいおつゆいっぱいでぐちゃぐちゃで……あっ」なのに言い終わる前にまた突っ込んできて、恥ずかしい言葉を言わずに済んだのはよかったけれどこいつはプレイってもんを分かっちゃいないよな、と、AV監督みたいに駄目出ししている。本音を言うと恥ずかしい言葉なんてこれっぽちも恥ずかしくないのだけれど、それを言わせて悦に入ってるアルファさまを見ているのが恥ずかしい。

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