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第27話

 長いまつげの下にある濡れたように黒光りする唯人の瞳に、俺は囚われた。  ふいに唯人が俺に顔を寄せる。 「好きだ、和希」  俺は唯人の唇を拒めなかった。  唯人は俺の下唇を軽く噛むと、荒々しく唇を重ねた。 「好き、好きだ和希。愛してるっ」  唯人はそう言いながら俺のシャツを脱がせ、尖った乳首に吸いついた。 「ああっ」  とっさに俺は唯人の頭を掴んでいた。  さらさらとした黒髪が俺の手から零れ落ちていく。  唯人は乳首を舐めつくすと、舌で首をたどり、再び俺に口づけた。 「ゆ、唯人。ちょっと、ちょっと待て」  流されそうになった俺は唯人の両肩を掴んで押した。 「何だよ?」  キスを途中で止められたからか、唯人が不満気に俺を見る。 「唯人のことは嫌いじゃないけど、好きかって聞かれたら正直微妙。自分がオメガで抱かれる立場ってのも、俺はまだ納得できてないし」 「分かってるよ。お前が俺にそういう風には興味を持ってなかったってことは。お前、許嫁に一途だったもんな」  唯人は少し寂し気にそう言うと、突然俺の盛り上がった股間を撫でた。驚いた俺は小さく声を漏らす。 「でも俺とこういうことするのは嫌じゃないだろ?抱かれるのは納得してなくっても、気持ちイイの嫌じゃないよな?」 「嫌じゃないけど……なんかお前のこと利用してるみたいな気持ちになる」 「利用?性欲処理のバイブレーターみたいにってこと?」 「違うよ。お前が俺に好きだって言ってくれるたびに、俺は返せもしないのに、自尊心がすげえくすぐられるんだ。唯人みたいな完璧なアルファに好きって言われてさ。そういうのってずるくないか?」  俺の言葉を聞いた途端、唯人が大爆笑を始めた。  腹を抱えて、ひーひー笑っている。 「何だよ」  俺が怒鳴ると、唯人が笑いすぎて目尻に涙を溜めたまま俺の頭を撫でた。 「はあ。本当に和希って最高。馬鹿正直すぎ。ずるくなんかないよ。それって俺に好きって言われるのが嬉しいってことだろ?」  そう問われて俺は渋々頷いた。 「そんなこと言われたら俺はめちゃくちゃ嬉しい」  そう言って俺の唇に唯人がチュッと口づける。 「いくらでも俺の好きを利用していいよ。大好き、和希。愛してる」  俺の顔が真っ赤に染まる。

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