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第11話 ※
体が熱い。
目を開けると隣で凪さんは眠っていた。
抑制剤は彼の後ろにある棚に水と一緒に置いてあったはず。
手を伸ばせば簡単に取れる距離だけど、手を動かすのが億劫だ。
「凪さん……」
肩をトントンと叩く。けれどどうやら眠りが深いようで起きてくれない。
どうしよう。このままだとまたあの熱が来てしまう。
あとの事を考えると怖くて、這うように体を動かし、凪さんの履いていた部屋着をずらす。
「ごめんなさい……」
謝りながら、下着からふにゃふにゃのそれを取り出し、そっと咥えた。
グチュグチュ唾液を纏わせて、早く早くと思いながら舌と手を動かす。
段々と大きくなってきたペニスを喉奥まで咥えようとして止める。
──俺、何してるんだろう。
こんなことして恥ずかしくないのか。
自己嫌悪に陥りそうになった時、大きな手が俺の頭を撫でた。
「真樹」
「ぁ……ごめん、なさい……」
「ごめんね、切れたんだね。薬飲む?」
「……ごめんなさい……っ」
ベッドに座り、勝手に溢れる涙を手の甲で拭う。
ごめんなさい。はしたないオメガで、ごめんなさい。
「本能だから仕方がないことだ。気にしなくていい。それより体が辛いだろ?薬飲もう」
「ふっ、ぅ……俺、こんな、やっぱりもう、嫌だ……っ」
「よしよし」
座った彼は乱れた服を元に戻すと、薬を取って俺の口に放り込んだ。
「オメガなんて、もう嫌だ……」
「俺は真樹がオメガで嬉しい」
「こんなことが、三ヶ月に一度起こるんでしょ……っ」
「可愛いよ」
「絶対、凪さんも嫌になる……!」
発情期のせいか、情緒が不安定で真夜中にも関わらずワンワンとまるで子供のように泣いた。
今、頼れる人が凪さんだけだということもあって、もしこの人がいなくなったらと思うと、やっぱり生きていけない。
暫く泣き続けて、薬が効いてきたのか、ただ泣き疲れたのか、眠気に襲われる。
「なぎさん」
「おやすみ」
額に唇が触れる。
やだ、唇にしてほしい。
そんな我儘を飲み込んで、そっと目を閉じた。
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