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第12話

*** 「夜中は本当にすみませんでした。」 「気にしてない」 床に額をついて深く深く謝罪する。 凪さんは笑って俺を立たせようとするけど、俺はどうしても自分を許せない。 オメガが嫌いだった。その一番の理由は、中学生の頃発情期になったオメガに誘惑されたから。 今にも俺の服を脱がせようとするオメガが怖かった。 そんな思いをしたはずなのに、俺は夜中に凪さんの服を脱がすどころか、勝手に……。 「オメガの発情期は、オメガ自身ではどうにも出来ないんだ。俺がいたから薬を取れなかったんだろうし、真樹は何も気にしなくていい。」 「……」 彼の優しさに泣きそうになって、堪える為に床に頭突きをした。あまりの痛みに違う涙が出てきたけど。 「真樹!?」 「もうこんな事ないように、ちゃんと自分のことコントロール出来るようになるので……!」 「そ、それより、頭!頭ぶつけて……っ」 「迷惑かけないようにします!!」 「赤くなってる!おでこ、冷やさないと……!」 真剣に凪さんに言葉を伝えるのに、凪さんは慌てた様子でキッチンに行って保冷剤を持ってくると、俺の額に押し当てた。 「凪さん、聞いてますか。」 「聞いたよ。聞いた!でも真樹が急に……」 「あ、痛いです。あんまり押さないで……」 力が強い。痛いと伝えると弱まって、凪さんを見上げた。 「凪さんは番を探してたって、言ってました。」 「え?あ、ああ、そうだね。言った。」 「俺の人生をちょうだいって。」 「うん。欲しい。真樹が許してくれるなら番にしたい。」 保冷剤を離して、冷たいそれをぎゅっと握る。 「俺は死のうとしてたから、どうせもう希望も未来も無いって思ってたから、凪さんに助けられて、こうして良くしてもらって……オメガだけど、まだ希望を持っていてもいいんだって、思いました。」 どうせどう足掻いたってアルファには戻れない。 それなら、オメガらしく、アルファに愛される道を選んでもいい気がする。 「……ただ、まだ完全に受け入れられたわけじゃないんです。それに、両親が何て言うか……。俺だけならまだしも、凪さんに何か嫌な思いをさせてしまったらと思うと、まだ番にはなれません。」 「勿論。急かすつもりは無い。一緒に過ごす中で真樹が許してくれた時、俺は真樹と番になりたい。」 額を撫でられる。 彼は「タンコブになってる」と言って苦笑し、俺の手から保冷剤を取った。

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