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第40話

*** 目を開けるとベッドで眠っていた。 熱くて布団を蹴る。汗かいてる。気持ち悪い。 起き上がってベッドから降りる。リビングは電気がついていて、ドアを開けて覗く。 そういえば前も、同じような事があったな。 「凪さん……」 「あ、体調どう?」 ソファーに座っていた彼が立ち上がり、傍に来る。 手を伸ばして俺に触ろうとしたから、慌てて体を引く。 「ごめんなさい、汗かいてるから……」 「俺は気にしないけど……あ、風呂入る?熱は下がったかな……」 「お風呂入りたいです。」 倦怠感はあるけど、熱は少し下がった気がする。頭痛も治まったし、とにかくスッキリしたい。 凪さんはすぐにお風呂を用意してくれて、有難くゆっくり湯船に浸かった。 お風呂から出るとおうどんが用意されていて、ちゅるちゅるとそれを食べる。 「美味しい……」 「よかった。買った薬、食べた後にまた飲んでね。」 「はい」 時間は夜の九時。帰ってきてから随分眠ったらしい。 というか、自分でベッドに寝転んだ覚えがないので、凪さんが運んでくれたんだと思う。 「凪さん、ごめんなさい。運んでくれたんですよね」 「大丈夫だよ。」 「初日から迷惑ばかり掛けて本当……謝ることしか出来ないん、ですけど……」 「謝らなくていいよ。迷惑じゃない。」 食べ終わったタイミングで、薬が出されそれを飲む。 凪さんは食器を下げ、俺はただそれを眺めた。 ああもう、まずい。 抱きしめられたい。 ふらっと立ち上がり、彼に近づき後ろから抱きつく。 「どうしたの?」 「あ、振り返っちゃダメです。」 「え、ダメなの。」 手を拭いた彼は俺が振り返らないように言ったから、動かずにじっとしてる。それもそれで面白い。 ふと昼休みの時中林さんに言われたことを思い出した。 「あのー……真樹さん?」 「……今日中林さんから聞きました。」 「何を?」 手を離すと、彼はすぐに振り返った。 顔を上げてじっと目を見つめる。 「凪さん、凄く人気なんですね。」 「人気?」 「他の幹部の秘書の方達が、中林さんに羨ましいって言ってるらしいです。凪さんの秘書だから。」 「へぇ。初めて聞いたな」 「人気だなって自覚はありますか?」 「気にしたことがない」 体調が悪いからか、危うく本音が出てきそうだ。 いや、この体調が悪いのを利用して、思ったことをぶつけてみてもいい気がする。 「中林さん、俺が凪さんとセックスしてないって聞いてダメだって言ってました。」 「……うん?真樹?」 「俺も、番じゃないから誰かに取られてしまうんじゃないかってちょっと不安です。人気って聞いたし。セックスもしたことないのに一緒に住んでる恋人って、誰かが聞いたらそれはもうただの友達じゃないかって言われるような気がします。」 「待て待て待て」 肩をがっしり掴まれる。少しだけ痛い。

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