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第108話
部屋に着き、靴を脱いで上がると唐突に後ろから抱きしめられた。
驚いて間抜けな声が出たけれど、彼は気にしていなさそうなので俺も気にしないことにする。
「真樹」
「はい。──んっ」
振り返ると、唇を彼のそれで塞がれた。
彼の手が後頭部を撫でる。舌を絡め合い、頭をふわふわさせながら、「なぎさん」と名前を呼んだ。
「あの、あ、あの……」
「何?」
耳の形をなぞられる。
擽ったくて思わず首を竦めた。
体が熱くなってきて、もっと彼に触ってほしいとウズウズする。
直接的な言葉はぐっと飲み込んで、彼を見上げた。
「お風呂……お風呂、一緒に入りませんか……?」
「うん。入ろう」
「それから、一緒に寝ます」
「そうだね。」
凪さんは俺の言いたいことを察してくれただろうか。
嬉しそうに微笑んでいるから、きっとわかってくれてると思うんだけど。
お風呂を洗いに行こうと、背広を脱いでネクタイを外しシャツの袖を捲る。
「真樹?」
「お風呂洗ってきます」
「俺がやるよ」
「いえ、いつも任せてばかりなので。」
「……何でまた敬語なの」
「あ……ごめんなさい。癖で……」
少し機嫌を損ねてしまったみたいで、いつもより彼の表情が硬い。
「あのー……凪さん」
「何」
「怒ったの……?怒らないで。ごめんね、仕事の後とかは特に、中々敬語が抜けなくて……」
オロオロしていると、彼は吹き出すように笑った。
「え……」
「あはは、ごめんごめん。怒ってないよ。」
若干イラッとして、笑う彼を無視してお風呂場に行く。
浴槽を洗って、床を軽く磨く。
そうしていると気持ちもどこかスッキリしたような気になって、お風呂を沸かすボタンを押し、濡れた手足を拭いてリビングに戻った。
ソファーに座り、テレビをつけていた彼の膝に向かい合わせで座ってやる。すぐに背中に手が回って体を支えられた。
柔らかい表情をしている彼に唐突にキスをする。逃げられないように首に手を回して体を密着させた。
「ん、真樹」
「テレビ消して」
「……ここでするの?」
テレビを消した彼からの質問を無視して、片手を彼の股間に伸ばしぎゅむっと掴む。小さく震えた凪さんを見て気分が良くなって、キスをしながら彼のシャツのボタンを解いていく。
ボタンが解けると、首筋に顔を埋めて唇で何度も触れた。
その間に彼の下履きの前を寛がせて、直接ペニスに触れる。
彼も俺のシャツを脱がせると、体の線に沿って肌を撫でてきた。
キスマークを散らせ、またキスをして体を離す。
「舐めていい……?」
「まだ風呂に入ってないよ」
「うん、知ってるよ?ダメ?」
「……真樹が嫌じゃないなら」
手の中で少し元気になったそれ。
床に座り、彼の足の間に体を入れて股間に顔を近づけた。
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