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第120話
お風呂は俺が仕事をしているうちに、凪さんが用意をしてくれていたらしい。
髪と体を洗い終え、湯船に浸かって体を洗う彼をぼんやり眺める。
こうして裸の彼を眺めることは滅多にないから、ちょっと楽しい。
手を伸ばして、横腹をツンツンしてみたい。
けれどそれを我慢して、凪さんに気になったことをみる。
「凪さんってさぁ、スポーツしてた?」
「色んなスポーツをしてたけど、最終的には……高校の時に柔道してたよ。」
「え、そうなの!?道着は?持ってる?」
「いや、もう無いな。」
「……着てほしかったなぁ」
「あっても着ないよ」
いつトレーニングをしているのか、体は引き締まっている。羨ましい。俺もそれくらいキュッと引き締めたい。
浴槽に入ってきた彼の足の間に体を入れて、太腿を撫でた。
「がっしりしてる。いつ筋トレしてるの?俺見た事ないけど。」
「たまにしてるよ。毎日じゃない」
「俺もするから今度誘って」
「わかった。一緒にやろう」
凪さんにもたれかかって、顔だけ振り返るとキスをしてくれる。
濡れた髪が垂れて、彼の顔にかかる。
それをかきあげた様子がエロくて、ゴクッと唾液を飲み込んだ。
「真樹、逆上せたんじゃないか?顔が赤い」
「……うん。もう出る」
立ち上がり浴室を出てタオルで体を拭いた。
凪さんはまだもう少し温まるらしい。
服を着てリビングに行き、ソファーに寝転がる。
濡れた髪を放置してスマートフォンを弄っていると、いつの間にかお風呂から出てきていた彼にタオルで髪を拭かれて驚いた。
「ちゃんと乾かさないといけないだろ」
「面倒臭い。寝る頃には乾いてるよ」
「だから寝癖がつくんだ」
「明日の朝、髪を濡らして乾かせば問題ない。」
「……二度手間だね」
なんだか、お母さんみたいだ。
思わずそう呟くと、彼の動きが止まる。
振り返れば「お母さん……」と言葉を零して、それからニコリと笑った。
「俺はお母さんじゃないよ」
「え、知ってるけど……」
「番だからね」
あれ、もしかして……今の凪さん、すごく面倒くさい?
改めて顔を見ると、いつもより表情が険しかった。
「んむっ!?」
噛み付くようにキスをされて、思わず彼の腕を掴む。
そのまま舌を絡められ、頭がふわふわしだした頃が離された。
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