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第132話
朝ご飯を食べた凪さんは、六時を過ぎた頃に家を出た。あまりにも早すぎると思う。
俺は食器の片付けをしてから、二度寝をしようかなと悩んで結局洗濯物をすることに決めた。
とはいえそれもそんなに時間がかからないから、他に何をしようかと考えてソファーに座っているうちに寝コケてしまい、八時半に目が覚めて焦り倒した。
貰った仕事をこなし、昼ご飯は適当に食べて彼が帰ってくるまでにお風呂掃除も終わらせて雰囲気作りを開始する。
ベッドは綺麗にメイキングし直して、今日の夜、風呂上がりに履く予定の新しい下着を準備した。
ただのボクサーパンツだけれど、グレーの下地に差し色で赤や青が散らばっていて可愛い……と思う。
凪さんがこんな下着で興奮するはずはない。完全に自己満足だけれどこうして準備をしている自分が結構好き。
今日はボディミルクも塗ってみようと棚に入れたままのいい香りのするそれも風呂場に置いておいた。
三時頃、玄関のドアが開いた。
急いで出迎えに行き、「おかえりなさい!」と言うと笑顔で「ただいま」を返してくれる。
「これお土産」
「何?」
「シュークリーム。甘いの好きだろ?」
「うん。大好き。ありがとう」
「真樹はもう仕事終わった?」
「うん」
シュークリームを冷蔵庫に入れて、凪さんが着替えに部屋に入ったのを見届けてから出しっぱなしだったパソコンを片付けた。
「凪さーん、晩ご飯、家にある食材で作れるかなぁ。」
「できるよ。普段から色々買ってあるし大丈夫。」
「わかったー!」
凪さんが部屋から出てきて、いきなり俺を抱きしめてくる。
「お仕事お疲れ様。少し休んだら?」
「真樹も休もう。終わったんでしょ?」
「うん。……あ、ちょっと」
「ごめん、ちょっと触らせて」
凪さんの手が俺の内腿に触れていやらしく撫でてきた。その手をそっと押さえると凪さんが何度も項にキスをしてくる。
「んっ、ん、項、やだ……ゾクゾクするから……」
どうして急にこんな……。疲れて発情してるんだろうか。
「凪さん、ねえ、夜にしようよ。ご飯食べてお風呂入って、ゆっくり……ね?」
「んー……」
「朝早く起きたから眠いでしょ。ほら、ちょっと休んで」
「真樹も休もうよ」
「駄目。また触るでしょ」
そっと体を離させて、ソファーに移動させる。
座らせればコロンと倒れて俺の手を掴んだ。
「真樹」
「珍しい。凪さんが甘えたになってる」
「キスしてほしい」
「俺もしたいと思ってた」
唇を重ねると、彼の口角がゆっくり上がる。
もう一度同じことを繰り返し、最後に軽く鼻に噛み付いた。
「痛いよ」
「嘘だ。優しくしたもん」
「真樹ぃ」
「なぁに。マッサージでもしようか?」
「ううん、いいよ。ちょっとだけ寝るね」
「うん。」
凪さんのこんなに甘えた姿を俺にだけ見せてくれるんだと思うと嬉しさが溢れた。
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