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第172話
***
あれから、蒼太と橋本はどうなったんだろう。
お互い仕事があるし、あまり聞くのもどうかと思って、連絡はしていない。
仕事をしていても二人に何かしら進展はないのか気になって、正直今すぐ聞きたい……。
「堂山君!企画部から次回イベントの資料預かってたら確認するから置いておいてほしい。まだなら促進の連絡をお願い!」
「はい!」
今日はスケジュールが多くて慌ただしい日だ。
企画部からの資料は今朝渡されたものを中林さんのデスクに置き、午後からの専務のスケジュールを確認した。
よし、これから会議。これが終われば少し落ち着いて、それから……
「今日が終われば休み……」
よし、と気合いを入れて会議に向かう。
「中林さん、会議行ってきます!」
「お願いします!行ってらっしゃい!」
パソコンと筆記用具を持ち、凪さんを呼びに専務室に行く。
「専務、会議です。行きましょう」
「うん。……ん?堂山君」
「はい?」
こっちに来て、と合図をされ近付く。
「……真樹、フェロモン漏れてるよ。」
「え、嘘……。まだ何の症状も出てなかったから、薬持ってないよ。」
「まあ、体調に問題がないなら、フェロモンは俺だけしか気付かないから、薬は無くてもなんとかなるかな……。」
「体調は問題ないです。……凪さんはアルファ用の薬持ってる?」
「ああ。一応飲んでおく」
薬を飲んだ凪さんは、立ち上がり脱いでいたジャケットを羽織った。
「もし辛くなったらいつでも言って。」
「はい。ありがとうございます」
専務室を出て、中林さんに声を掛け会議室に向かう。
意識をすると少しだけ体が熱っぽい気もする。
会議室には既に人が揃っていて、凪さんが「お疲れ様です」と言いながら入り、俺は会釈をしてから、部屋の隅っこに行き椅子に座った。
直ぐに始まった会議。
皆さんの話に耳を傾け、記録を取った。
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