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第33話

もうどれくらい時間が経ったんだろう。 気が付くとどんどん視界がぼやけたり視野が狭まった。 もう・・・・・・・・・そろそろなのか? 度の合ってない眼鏡を外して 重い雲が支配する空を見上げる。 今日は午後から雨って言ってたよな? それにしても・・・・・・・・・暗すぎないか? 自分の考えに胸が締め付けられる。 さっき買い物に行くと言って出掛けた君。 俺はゆっくりベランダから部屋に入ると玄関に向かった。 早く帰って来て・・・ 最期に君の笑顔を焼き付けたいんだ。 開かないドアの前に膝を抱えて座り込む。 もう俺には時間が無いらしい。 君の名前を心の中で呼び続ける。 逢いたいと願いを込めて。

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