34 / 74
第34話
出来るなら君の艶かしい姿も見たかった。
綺麗な笑顔も泣き顔も
少し拗ねた顔も。
欲を上げたら切りがないけど
全ての君を今は見たい。
抱えた膝に顔を埋めて君の帰りを待ってると
微かにだけど足音が聞こえた。
だんだん近付いて来てドアの前に止まる。
鍵を開けてドアが開いたと同時に顔を上げた。
「どうしたんですか?こんな所で。」
「・・・・・・・・・笑って?」
「はい?」
俺の言葉に君は少し戸惑う。
「ごめん。笑って。」
俺の言葉に勘の鋭い君は何かを感じたみたいだ。
大きな瞳に涙をたくさん溜めて
それでも俺の大好きな笑顔を見せてくれた。
「・・・ありがとう。」
それが俺の光の世界の終わりだった。
ともだちにシェアしよう!