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第38話
泣くつもりなんて無かった。
覚悟はしてた筈だったのに・・・
僕の瞳には意思とは関係無く涙が浮かんで
視界を・・・貴方の顔を歪めていった。
それでも貴方が望むなら
僕は貴方が好きだと言ってくれた笑顔を見せます。
上手く笑えてないだろう笑顔を貴方に向けると
「・・・ありがとう。」
そう言って貴方は綺麗に微笑んだ。
きっと貴方が最期に見た景色は僕の情けない笑い顔。
そんな顔でも貴方が満足そうに笑って
涙を流す僕を抱き締めてくれたから僕も幸せです。
もう貴方の瞳に僕は映らなくても
ずっと覚えておいて下さいね。
「泣くなよ・・・」
慰めなきゃいけない筈の僕は
貴方に抱き締められてまた慰められた。
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