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第69話

仕事から帰った君とちょっとだけ抱き合ってすぐに出掛ける。 行き先は兄貴達のマンション。 「どうしたんだろうな?」 ハンドルを握る君に聞いてみても理由は聞かされてないみたいで 俺達は何かあったんじゃないかと不安になりながら急いで向かった。 来客用の駐車場に車を停めるとエレベーターで最上階を目指す。 繋がれた指先に湿り気を感じて 君も不安なんだと分かって手をギュッと握る。 インターフォンを押すと鍵が外されてドアが開く音がした。 「2人ともいらっしゃい。上がって。」 兄貴の優しい声に少しだけ不安が消えた。 君に手を引かれ部屋に入ると お腹の虫を刺激するいい匂いが鼻を擽った。

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