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ハッピー・ウェディング 10(最終章)

「男同士の結婚式を喜んでお受けしましょうなんて式場、そうそうねえだろうが」 「あるわよ、女性同士の式だったけどニュースになっていたもん。さっそくネットで調べてみるから」 「でも、式挙げたからって、婚姻が認められるわけじゃないだろ。自分だって、前にそんな話したじゃねえか。この国では認められていないとか何とかって、承知していたんだろうが」  願望が強いとわかっていたし、二人で迎える朝の良さも捨て難いが、同棲するならまだしも、実際の結婚生活となるとハードルは高い。パートナーシップ制度では法的拘束力はないので、異性間の結婚との差が問題となっているのが現状だ。 「それじゃあいっそのこと、二人で海外移住しちゃおうか?」 「はあ~?」 「同性婚オッケーの国ってのがあるじゃない、そこなら式も抵抗なく挙げられるはずだし。ね?」  いたずらっぽく笑う相手の様子に、思わず溜め息が出る。  いや、総一朗なら、全体会議で経営陣を動かしてしまった彼ならば、どんなことでも何とかなりそうで、冗談を現実にしかねない行動力があるからコワイのだが、創にはそれも頼もしく思えた。  テンシの力、エンジェルパワーの威力かもしれない。彼と一緒なら、最高に楽しい人生が送れるのは間違いなし。ただし、かなりハラハラさせられるだろうが。 「……結婚、しようかな」  創の不器用なプロポーズに、総一朗はニッコリした。 「これで決まりね」                           〈Happy End〉

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