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第1話
「突然なんだけど、今日はジェスと2人きりにしてくれるかな?」
元地方都市・レジオの若き新聞記者であるジェス・テジエ。
その彼をX字型に拘束し、毎日のように男体を責めて責め抜くようなプログラムを実行していたファル・シターテだったが、急に共同研究者のイルク・デ・リレから言われる。
「ええ、良いですとも。ただ、今日は明日の実験に備えて1日中、眠るようにプログラムしていますが、起こしますか?」
「ありがとう。プログラムはそのままで大丈夫。少し話をしたいだけだから……」
イルクはたまにそんなことを言う。
1度だけ、イルクにそう言われた日にジェスのいる部屋のマイクを切り忘れたことがあった。ファルはすぐにマイクを切らずに暫く聞き耳を立てていたのだが、本当に実験以外でイルクはジェスには無体を強いることはなかった。
『今日は久し振りに酒屋に行ってね。前にジェスが気に入ってたワインを見つけたんだ』
とか、傍らで最近、会ったことを話していたり、あとは
『愛している』
『また話そうね』
と言ったりするだけだった。
「起きている時に言ってあげれば良いのに……」
「え?」
ファルはイルクには聞こえない小さな声で言い、イルクは聞き返すが、『何でもないです』と返す。
すると、イルクは大して聞き返すようなことはなく、話し出した。
「まぁ、良いや。明日は『淫紋実験』をするんだったよね?」
「ええ、200年前に南洋で行われていた秘術。まぁ、殆ど、科学と比べると若干、呪術的というか、ファンタジーみたいなものですが」
200年前のレクターでも南洋の、取り分け、未開の医学を研究していた博士(はくし)が宮殿つきの博士として招かれ、この方法を用いて、富国強兵を実現させようとして画策していたという。
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