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第2話(R15)
「ファンタジー……本当にね。しかも、君の仮名ってその博士からとっているんでしょう? でも、成果が見え始める前に国が滅んだとか? えーと、確か、何とか将軍に施していて……」
「ファル・シターテ博士とエクエス将軍ですか?」
「そうそう。片やレクターの歴史上、最も武力知略人徳を兼ね備えたと謳われた将軍。片やレクターの歴史上、最も秀才天才鬼才と名を欲しいままにした謎多き狂った博士……って、あ、気を悪くしたかな? 『狂った』だなんて」
「いえ、シターテ博士についてはそれが妥当な評価だと思われます……ただ、一見、狂った施術でも理論上はかなり信憑性のあるものだったみたいです。しかも、私が行う以上、『失敗』の2文字はないでしょう」
ファルは唯一の懸念でもあったジェスの身体の開発具合も昨日のうちにクリアしていた。
ジェスの身体はもはや、開発のしようがないくらい、少しの刺激で絶頂してしまう。それはファルがかの博士の理論を元に再構築した『淫紋実験』ではキーになる要素だった。
「まだ俄かには信じられないけどね」
「ええ、でも、明日が来れば、信じてもらえるでしょう。それでは、また明日」
ファルは白衣を翻し、イルクの要求通り、イルクとジェスを残して研究室から出ていく。
「さて、今日はどうしたものかな?」
イルクもせめて昨日のうちに希望してくれれば今頃は有意義に活動を始められたのに、突然、仕事がなくなり、ファルは予定を決めかねていた。
「他の被験者に新しい責めなんかを試すのも良いんだけど、久し振りに図書館へも行ってみますか」
ファルが図書館へ行くのは何も読書や資料を探しに行くというからという訳ではない。
「地下書架、寝るのに最高なんだよな。人はこないし、本も本棚もたくさんあるし」
滅多に人が来ない、書籍や本棚に囲まれているのが心地いくファルは机に突っ伏した。
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