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第1話 side瑞穂

   ニャンニャン。  世の中的にネコと言えば小さくて可愛いモノ。  ネコカフェが流行っている今だから、ネコ好きならいくらでも触れ合いに行ける。 「いらっしゃいませぇ〜お客様初めてご利用ですかぁ〜?」 「あ、はい!」  そんなオレもネコ好きな25歳のサラリーマン。  色々拗らせている自覚はあるよ。 25歳にもなって相手もおらず、そういう時は右手が相方だし。 友達に言わせると、ルックスは良いらしい。優しげな雰囲気で身長も高いしとうらやましがられる。 会社も有名な所に入れてこの歳で年収は平均を大幅に上回っている。 これでモテないなんてどうかしてるぜ。  仕方ないよ。 怖いもん、女の人。  小さい頃からだよ、 お医者さんごっことか、必ず患者役だし。 オレだってお医者さん役やりたかったし…。 小学校に入ると本格的にいじわるされたよ。  話しかけられたかと思って振り返ると誰もいないなんてザラだし。 この時ばかりは幽霊って本当にいるんだって思って震えてたよね。 話しかけても無視される。 なのに、オレの方見て皆でヒソヒソ話。  物もよく無くなってた。消しゴムとか鉛筆とか。 笛と体操服が無くなった時はさすがに凹んだよね。親に怒られるって。 校舎の裏で何度泣いた事か。  先生とかは代わる代わる慰めてくれたけどなんか距離が近いし、息は荒いし、ベタベタ触ってくるし。 …ちょっと嫌だったな。 ギトギトの唇を顔中にくっつけられた時は叫んじゃったよね。 たまったもんじゃないよ。本当に。  中学時代も同じような環境だったなぁ。 この頃にはまぁなんとなく好意を持たれてる?って思う事もあったけど、告白されてOKしても次の日にはやっぱ無かった事にして…って何回言われたか…。 罰ゲームかなんかだったのかな? 結構ダメージあるんだよね。  だからって訳じゃないけど、甘やかしてくれる大人の女の人がよく近くにいてくれた。 だけどその人達もすぐに上に乗ってきてキスとかしようとしてくるんだよね。 オレ、小さい頃のトラウマでギトギトの唇がダメなんだ。  だからキスはやんわりお断りしてる。 だけどエッチな事はやっぱりオレも男の子だもん、興味はあるよね。 女の人がシテくれようと咥えたり、擦ったり、揉んだり… ……なのにオレの息子サン、ウントモスントモ…  まぁ、1人ではちゃんと出来るから全くの不能じゃないって事で無理矢理納得させてた。 まだ中学生だったし、未成熟だしって。  そんなオレでも高校では男友達はちゃんとできたんだ。 この頃はもう女の子が怖くなっちゃって、男子校に行ったんだけど、ボッチにならなくて良かった…と思ったもんだよ。  友達とさ…握りっことかしちゃったりさ。 男の友情の証なんだって。 友達だったらみんなやってるって。たまに咥えられる事もあったし。 そういうもんなんだねーって当時は思ってたけどね。  今なら分かる。 友情の証な訳がない。 やっぱり、嫌われてたのかな… 友達と思ってたのはオレだけだったんだ。 気持ち良かったけどね。  大学入ってから運命が変わったんだと思うよ。 初めのうちはボッチだったんだ。 だけどさ、声かけてくれた奴がいてさ。 そいつといると男も女もなく人が集まってきて大学時代ずっとつるんで遊んでた。 初めて純粋に友達ができたって思ったよ。  そいつとは腐れ縁で今でも同じ会社に勤めてる。 一緒にいると楽しいんだ。だからいつも一緒に帰ってご飯食べに行ったり、泊まりに行ったりしてる。  オレが女の子が苦手な事とか知ってくれてる。 昔のいじめとかトラウマとか全部話したからね。 それでも大丈夫だよって。 自分が一緒にいるからって、言ってくれたんだ。 近寄って来る女の子をやんわり遠ざけてくれたりして、優しいよね。  そのまま卒業して就職して、変わらずに近くにいてくれて、毎日楽しかったんだけどね。  この間、久しぶりに大学時代の友達と会社帰りに偶然会ったんだ。 今でもアイツと一緒にいるよって言ったら、 あぁ、そうなんだ、やっぱりね。って。 なんか訳わかんなかったから曖昧に笑っといた。  そしたら、今から遊ばない?って誘われて、久しぶりだからいいよって。 アイツに、今からバー行って飲むことになったよって連絡したら、アイツすっとんできてさ。  ん?ってなるじゃん。 オレももういい大人だからさ、そういうのって分かるようになっちゃったんだよね。 男同士のアレ。  アイツって、あんまりそういうの見せなかったのに焦った感じで来てさ、 腕掴んでいきなり帰るぞって。 そんなにあのコとオレが一緒にいるのが許せなかったのかな。 たまにはいいじゃんとも思ったけど、自分の好きなコが他の男と一緒にいるのってよく思わないよね。  うん。ごめんね。 あのコとどうにかなろうなんて思ってないよ。だって、君が好きな男のコなんでしょ? だからあんなに怒ってたんだよね?  ◇◇◇◇ 「瑞穂、どういうつもりだ?」 「え??何?」 「なんでアイツと2人きりであそこのバーに行った?」 「なんでって?久しぶりだったし、軽く飲みに行こうって誘われたからさー」 「瑞穂の事だから知らなかったと思うが、あのバー、どんなバーか分かって付いて行ったのか?」 「え?バーはバーでしょ?」 「だから!!」 「健吾、怖いって。別にあの男コ酔わせてどうにかしようなんて考えてないから」 「…わかって付いて行ったって事?」 「だから、何が?」 「だからナ・ニ。男同士のナニするスペースがあるバーって事」 「………………。ナニって?」 「セックス」 「っっ!!」 「男同士でヤリたい奴らが集まるバー」 「っっっっ!!」 「そういう奴らが相手を探しに行くバーだよ」 「……健吾はなんでそんな場所知ってるの?」 「……そりゃぁ……まぁ……」 「コ、コホン。まぁそれはいいや。うん。えっと、オレ知らなかったし。そういうバーな事もそういうのがあるって事も…」 「…そっか。なら本当に知らずについて行ったって事だな」  コクコク頷く。 知らない、そんなの知ってるわけない。 「なら良い。けど、お前本当に気を付けろよ」 「何を?」 「だから、ナ・ニ」 「っっ!!」 「…瑞穂、狙われてるの分かってる?」 「何に?本当にわかんないよ?健吾って説明不足だよね!」 「………。ふぅ。」 「あ、溜息ついた!幸せ逃げちゃうよ!」 健吾の口に両手を合わせて幸せが逃げないようにしてあげた。 ベロリ 「あっ!舐めないでよ!」 ベロベロ 「やめてよ。くすぐったい!」  あれ? なんだろうこれ、くすぐったいのと違う感じもしてきたかな? 「あ、指!!」  指も舐められてる!! なんで?ピチャピチャ。腕のへんまで唾液が流れてる。 「… …んっ …あっ、健吾っっ。やめて??」 あ、ちょっと変な声出ちゃった。 「……クソッ。あんなに大事にしてきたんだ。もういいよな?」 「健吾?何怒ってるの?オレが健吾の好きな男コと一緒にバーに行ったから?」 「………は?」 「だーかーらー!オレが健吾の好きなあの男コとバー「お前もう黙れ」 「…んっっ」  あれ?あれれ?? オレ今キスされてる??  唇舐められてくすぐったくて口開いたら舌が入ってきた。オレの口の中なのに健吾の舌が我が物顔で舐めまわしてる。苦しくて息が上がる。 でも、嫌じゃない。アレ?嫌じゃないじゃん。  グッと下半身が押しつけられて、健吾の硬いモノがまだ柔らかいオレのモノに当たってる。 「あっ………」 プハッとキスから解放された。 「なんでキス?」 「……お前が鈍いから」 「だから、健吾は説明不足だって!」 「…鈍い鈍いと思ってはいたが…ここまでとは」  ガックリと肩を落とす健吾。なんかいたたまれなくなってきたなぁ。 「オレ、そんなに鈍くないよ。だって、健吾の好きなのって男の人でしょ?」 「お前、本当に分かってて言ってる?」 「だーかーらー!健吾の好きなのってあの男コなんでしょ?」  はぁー。 大袈裟なくらい大きな溜息つかれた。 「お前…は、男相手とかどう思う?」 「?オレはそういうの偏見ないよ!だって、人それぞれだしさ」 「そうじゃなくて…お前自身の相手が男って事」 「オレ自身?」 「そう。お前自身」 「オレ…は、女の子は怖くて、でもそういう相手は女の……あれ?ね、ねえ健吾、オレ女の子で勃ったことない気がするんだけど…」 それって、そういう事?  あれ?高校の時の握りっことか…勃ってたよ? 咥えられて…勃ってたよ! えー?オレってそうだったの!? 頭がパニックだよ!! 「……はぁ。まだ早かった?いや、何年たつよ?気付いてもなかったとは…」 「健吾…オレって……男…」 「……今日はもう送る…」 「オレ…」 「行くぞ」  車に乗せられて、家のマンションで降ろされてどうやって戻ったのかわかんなかったけど、 気付いたら…朝だった…

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