「いやいやいやいや！！！ちょっと待ったああああ！！！」思わず両手で項を守った。鼻が付きそうな距離で俺を睨めつけてくる生馬にビビるけど、それよりも生馬のフェロモンに心地よくなって絆されそうになる。 「本能では嫌がってなさそうだけどな？なんだ？俺はちゃんと親父さんから結婚の了承はもう貰ったぞ。」俺から出ているフェロモンに気づいて、何が納得行かないのか、わかってないようだった。 「だって、あの時俺のこと殴って、近づくなって！！汚らわしいって・・・ズッ・・・きょ、きょうびないっで・・・いっだじゃん・・・・・」またあのときのこと思い出して、涙腺が壊れた。 「お前なぁ・・・どういうふうにあの状況になったのか覚えてないのか？」ため息交じりに呆れられた。指で涙を拭われ、ティッシュで鼻水をチーンとしてくれたけど、言われたショックな言葉しか思い出せんよ？思い出そうと真剣に考えている俺を、アホの子を見るような目で見るんじゃない。 「本当に覚えてないのか・・・・・・はぁ・・・・」って、心底ありえないって顔でみてきますけどね？覚えておりませんよ？ 「玲桜を貶めようとする奴がいたから、そいつらの話に乗ったふりして一芝居を打とうって話だったろ？」俺の前髪をクルクル弄くりながら、反対の手で項を撫てる生馬。困ったように見てくるけど・・・・そんなお話あったと？はてなマークしか思い浮かばんよ？ 「あかん・・・その辺の記憶全然ないわぁ・・思い出されへん・・・・」また涙出てきた、そんなん覚えてたら病気なかったんちゃうの？俺のＢＬ鑑賞も普通に出来てたんちゃいますの？俺のアホ・・・・一人で暴走して、ショック受けて、病気になって何しとんじゃろ・・・・。 「・・・ところで玲桜、その訛りはなんだ？関西のような気がするが生まれも育ちも関東のお前がなぜなんだ？」訝しげに見てくる生馬。 「・・・・き、きのせいでは・・・無いでしょうかねぇ・・・？」嫌な汗が流れて来た俺。え？今もしかして普通にでてたん？うち、前世では生まれは四国、育ちは関西やってんで？きい抜いたら出てまうのは仕方ないねんけど・・・。そんなん言うていいの？？前世の記憶があるとか・・・気持ち悪がられへん？？？ 変な汗出てきたし、目は右往左往してまうし。 「尾瀬と話ししてたときも、出てたぞ？」「いや・・気のせいじゃないかな？」って何で俺の上乗ってくるの？うわ！！めっちゃ悪い笑顔で見下ろしてきますやん！！こわいこわいこわいって！！ 「さて、玲桜くん。大事なことを忘れてるお仕置きと、尾瀬と何を話ししていたのか、その関西弁の理由を教えていただきましょうか？」ひえぇぇえぇぇぇぇ！！！ 「ついでに、首輪も外してしまいましょうねぇ」って指紋認証のところに指を持っていかれて外されてもた・・・・。おかあああああさああああん！！！逃げられましぇええええええん！！！！ 何時間・・・いや何日経ったのでしょうか？ってくらい濃厚な時間を過ごさせていただきました。実際は１日しか経ってないんですけどね。 えぇ濃厚すぎて現在はベットの住人とかしております。腰は痛いし、項も痛い。後孔も酷使されたせいで、無事に瀕死です。項の痛みは幸せな痛みで、うーん、ワルクナイ！！ 生馬くんですか？俺のために料理を作ってくれてます。この匂いは卵とベーコンが焼ける香ばしい匂いですね。 前世のこと、尾瀬のこと、洗いざらい吐かされました。言いたくないって言うてんのに、生馬は全然言うこと聞いてくれへんし。言わないとイカせてくれないって拷問を延々と繰り返されたら、頭おかしくなってしまうっちゅうねん！！ずるこいわぁ！！！ 「何を百面相してんだ？」朝食を作ってきてくれた生馬が爽やかな笑顔で俺を覗き込んでくる。頬にキスを落として体を起こしてくれる。生馬に後ろから抱き込まれて、朝ごはんを食べさせて貰ってるこのいたれりつくせり感。幸せです♡ ついでに、生馬に殴られるきっかけも思い出してん。美形ｘ平凡カップルの側で居たモブチワワ君を中心にチワワ軍団から嫌がらせを受けていた俺。幸せボケしすぎて気にしてなかったから、余計に火が付いたモブチワワ軍団。俺と生馬を引き剥がすために色々と画策していたので、一回離れて完全にお家ごと潰してやろうと言う計画だった。 思ってる以上に精神的にダメージを負った俺は、数日の記憶をなくして前世を思い出したと。 しかも作戦を言い出したのは俺なのに、全部ぶっ飛んで暴走したって、まんまアホすぎて穴があったら入りたいっちゅうねん！！！ どう転んでも、俺は最初から最後までアホの子やったわ！！！