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第一章・11

「しかし、今日は何だか物足りないぞ」  金曜の夜、明日は休みと言うこともあり、和正は妙に浮かれていた。  気分だけでなく、身体も昂っていた。 「久しぶりに、エッチのお世話にでもなるかな」  足を歓楽街に向け、和正は風俗の店に入った。 『ボーイズ・バー アガメムノン』  若い頃は、よく通っていた店だ。  店内は個室に仕切られていて、客はそこで指名した男の子と過ごすことができる。  中出しは厳禁だが、その他なら何をしてもいい。  まだ駆け出しのころは自分より年上のお兄さん相手に、随分ヤンチャしたものだ。 「今となっては、店の子たちは皆、俺より年下なんだろうな」  改築改装されて、ゴージャスな雰囲気になったアガメムノン。  値段もそれなりに上がっていたが、今の和正には何と言うことも無い額だ。  2時間コースを選び、和正はスタッフのメニューを見た。 「SMは好みじゃないし、派手過ぎる子は苦手だし……」  写真をたどるうちに、和正は一人の顔の上で指を凍り付かせた。 「清水くん!?」  そこには、さっきまで一緒に過ごしていたはずの祐也が微笑んでいたのだ。

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