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第五章・6
「祐也、今できる?」
「こ、ここでですか!?」
「鉄ちゃんの旅館、壁が薄いから。声が館内中に漏れちゃうよ」
「ちょっと、恥ずかしいな」
「誰も見てないよ?」
「星に、見られてるような気がして」
それは素敵だ、と和正は祐也に向き直った。
「お星さまに宣言しよう。俺たちは、こんなに深い仲になったんだぞ、って」
くすくす笑い合いながら、二人は互いの身体をまさぐった。
少しだけボタンを外し、少しだけ肌に口づけを落とし、少しだけ身体を擦り付け合った。
ただ、祐也はジーンズを全部脱いで和正を受け入れる姿勢を取った。
「指、入れるね」
「はい」
なぜかローションを絡めた指が、祐也の内に入って来た。
(和正さん、用意がいいな。最初から、その気だったのかな)
でも、僕が拒めばやめる気でいてくれたに違いない。
そんな人だ、和正さんは。
「和正さん」
「何?」
「僕、和正さんの恋人になれて、嬉しい……」
「ありがとう。俺もだよ」
濡れた音に交えて、そんな言葉を囁いた。
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