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第五章・5
実はもう、200万円用意してある、と和正はバッグから封筒を出した。
「君を店で買うようなことはしたくない。恋人として、俺と付き合ってくれないか?」
君の力になりたいんだ。
そっと握ってきた和正の手は、とても温かかった。
祐也は、その手を握り返していた。
「僕なんかで、いいんですか?」
「君が、いいんだ。祐也」
「和正さん」
来てくれるね、と囁いた和正への返事の代わりに、祐也は強く手を握った。
闇の中、星明りを頼りに唇を合わせた。
星降る夜に、二人は恋人になった。
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