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第五章・4

「祐也、解説してくれる? あの一番強く光ってる星の名前は、何?」 「いえ、あの。星がみんな明るいので、どれが1等星か解りません……」  これでは、星座も解らない。  6等星までしっかり自己主張しているので、目印になる明るい星がかすんでしまうのだ。  二人でお喋りをしながら星空を眺めていたが、やがて黙ってしまった。  星空に、圧倒されてしまった。  そんな中、ふと和正が口を開いた。 「この空の星を、全部祐也にあげるよ」 「いいんですか? 和正さんの、故郷の星ですよ?」 「いいんだ。一つ残らずあげるから、俺の願いをきいてくれる?」  何でしょう、と言う祐也を見ずに、和正は仰向けになったまま話した。 「アガメムノンを、辞めて欲しい。君が、他の男に肌を許すことが、俺にはもう耐えられない」 「でも、奨学金を返さないと」 「代わりに、俺のマンションへ来て欲しい。家事をしてくれれば、対価を払うから」  祐也は、眼を円くした。

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