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第18話
樹優side
俺が寮に入りあの行為に嵌まり始めた頃のこと…
俺をストーカーしてたあいつは未成年で初犯って言うこともあってすぐに出てきていた。
その後学校を退学し家族みんなで引っ越していったと知らされた…けどその引っ越し先が目と鼻の先って言うことまではちーたち家族も俺も知らなかった。
引っ越していったからって安心していたけど…後に聞けばその場所っていうのは隣町だった。高校生にもなればそんな距離なんて何でもない。
あいつの両親は甘かったのだ。あいつの執着を軽視していたのだ。
俺への接近禁止令は出ていたけれどちーたち家族には出てなかった。
俺が何も知らず乱れた高校生活を送っていた頃…
…ちーは…あいつに誘拐され…監禁されてしまうことになった…そして…性的暴行を受け…
…そう…あいつは…俺と顔の良く似たまだ幼いちーを俺の代わりにしたのだ。
けど…ちーに…その記憶はない…
多分春海が持っていたという幼い頃の写真たちは監禁時、あいつが撮り溜めたものだと思う。
保護された時のちーの様子は…監禁される前と変わらず…いや…それ以上に人好きのする笑顔になっていた
その頃からちーは自分の心の傷がわからなくなってしまっていたのだと思う。他人に虐待を受ける恐怖を小さな体でニコニコと笑って乗り越えたのだろう…そう思うと胸が張り裂けそうだ…
きっと辛さが限界を越え何かが弾けてしまったのだと思う。
その後泣いた姿は一度も見たことない。元々泣き虫で甘えん坊なちーはいなくなって聞き分けの良い誰から見ても良い子になった。おそらく近くに春海がいたから泣くに泣けなかったのだろう。春海はあいつにとって可愛い弟みたいなものだったのだから…
他人から嫌われることを極端に恐れるようになったのもこの頃からだ
「ちー…ごめんな…」
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