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第16話
樹優side
何となく気付いてた。昨日の春海ちゃんが昔隣に住んでた子だったってこと。だって、俺をストーカーしてたあいつに似てたから。
わかってたのにそのままいかせてしまったのは俺の落ち度だ…
たまたまタイミング悪く他の客に捕まってしまった…そんなのただの言い訳だ…
昔から俺たちの周りの人たちは俺やちーは観賞用だとかアクセサリーだとかそういう扱いをしてくる。好きだと言われてもそれは表面だけで中身を見る者はない。
俺たちは結局自分の気持ちがわからないから来るもの拒まずだった。
だから告白されたら付き合ったし別れを切り出されたら素直に受け入れ追いかけたことはない。それで更に怒りを買うのはいつものことだ。
俺たちの父親は双子で二人はとても良く似ていた。
若い頃はかなり評判のイケメンで二人して芸能界にいた時代もあるみたい。
その父親たちの血を濃く受け継いだ俺たちは子供の頃から目立つ存在だった…互いに何でも卒なくこなしていたのも目立っていた原因の一つだった。
高校時代の俺は結構目立つ存在だった。だから俺を知らない者は学内には誰もいなかった。別の意味でストーカーのあいつも目立つ存在だった
あいつはいつも前髪を長くしてて下を向いて顔はあまり見えなかったけど学校のプールの時間は顔が見える。
記憶の中のあいつの顔と春海ちゃんはとても似てたのだ。
とても可愛らしい顔をしたあいつはいつも注目を浴びていた。
顔が可愛らしいのもそうだが太陽の下にいてもなかなか日焼けもしない真っ白で女みたいに滑らかで触り心地の良さそうな肌をしてたからなのか男子校の生徒や教師たちの格好の獲物だった。
あいつが俺をストーカーし始めたきっかけはたまたま輪姦されているところを助けたからだ。
それまであいつは学内外問わず何度もその経験があってされているところを助けてくれた人がいてもその後でそのお礼と言うことで結局その助けた相手に無理矢理組み敷かれていたらしい
俺はあの頃はまだそういうのにあまり興味もなかったしそんな気分にもなれなかったからそれをやらなかった。
そこから始まったのだ。始めは別に気にしてなかった。そのうち熱も覚めるだろうって思ってたから。
でもそれがどんどんエスカレートしたある日のこと…
「ねぇ。穂積くん」
「ん?」
「僕と一緒になろ?」
「は?」
そのときキラリと光るものが手に握られてて…間一髪避けてそのまま拘束したのだけどそこにたまたまちーのお父さんが来てくれて全て明るみになったのだ。
調べていくうちに彼だけでなく多くのものにストーカーされてるのも知った。全て彼の仕業だと思っていたのだけどそうではなかった。
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