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秘密①

 自分でこんな事を言うのはどうかと思うが、自慢などではなく俺は勉強が出来る方だ。  しかしそれは天賦の才などではなく、努力の賜物である。  高校生になるのと同時に親元を離れ、始めた寮生活。  うちは貧乏子沢山を絵に描いたような家庭なので、この学校なら成績優良者は学費はおろか寮費や食費までも免除して貰えると聞き付け、親の負担を少しでも軽くする事が出来ると考え、入学を決めた。  その為現在は寮の狭い一室で、ルームメイトと寝食を共にしている。  同室の高橋は 大きなくりくりお目目と、真っ黒だけど柔らかそうな天パがチャームポイントの、見た目も性格もとても愛らしい、女の子みたいなヤツ。  男でもあいつとならヤれる!と複数の野郎共が以前語り合っていたのを耳にしたから、同室者の贔屓目などではないはずだ。  そして俺も他聞に漏れず、コイツとなら男相手でも余裕でヤれると思っている。  ......ここだけの話、時々オカズにさせて貰っています。ハイ。  和を重んじる性質みたいで、誰かと揉めたなんて話は聞いた事がないし、授業態度も生活態度も、極めて真面目。  でも最近俺は、気付いてしまった。  ...穏和でおとなしいこの男が、時々寮を抜け出して、真夜中の街に遊びに出掛けているらしい事に。 ***  高橋が夜遊びに出掛けるのは大抵、金曜の深夜。  しかし俺は普段は23時過ぎにはディープな眠りについてしまう為、これまでこの事を全く知らなかった。  でもある夜、室内を翔ぶ蚊の羽音で目を覚まし、同室者である彼の不在に気が付いた。  最初はトイレにでも行っているのかとも思ったが、どうやら違うっぽい。  その日、彼が帰ってきたのは結局、明け方近くなってからだった。  それ以来、彼の動向がどうにも気になり、眠い目を擦りながら観察する事数日。  こっそり部屋を抜け出した彼の後をつけて、どうやら男相手に売春をしているらしい事を突き止めた。  ...純粋だと思っていた彼のそんな裏の顔を知り、本当にショックだった。  でもこの時の俺は、まだ本当の意味での真実にはたどり着いてはいなかったのだ。  彼が野郎から貰っていたのは、金なんかじゃない。  高橋の餌となる、精液だったのだ。  ...なんじゃ、そりゃ! ***  「高橋......昨日の夜、俺、見ちゃったんだよ。  お前がまさか......」  翌朝俺は、鏡に向かい身支度を整える彼の腕を掴み、告げた。  すると高橋は一瞬キョトンとした顔をして愛らしく首を傾げて、それからすぐに耳まで真っ赤になり、俺が最後まで言い切るより早く、アワアワと慌てた様子で大声をあげた。 「えっと......えぇっ!?  嘘......ヤバ、どこで見たのっ!?  でも......うん、違うよっ!  アレはほら、アレだ、コスプレ的なヤツだからっ!」

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