121 / 121
『眠りから覚めて』
「………」
起き上がれない……ダルイ……。風呂でやった後……もう一度ベッドで……。
視線を動かして自分の部屋のベッドだと確認した。身体はべた付かないし、下着も着ている。
先輩どこ……?
ゆっくりと身体に響かないようにそろそろと起き上がって、ベッドサイドに置かれた時計で時間を確認するとすでに10時を過ぎている。その時計の横には見覚えの無い折畳まれた紙が置かれていた。
「今日って学校だ」
ため息を付いて紙を手に取った。
『ゆっくりおいで』
まあ、午後からでも行けばいいか……。
午前中に行われる全校集会。喋りだした桃香先輩。
俺は何も知らず、誘われるがまま深い眠りに落ちた。
春が起こしに来るまで。
(おわり)
ともだちにシェアしよう!