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『眠りから覚めて』

    「………」  起き上がれない……ダルイ……。風呂でやった後……もう一度ベッドで……。  視線を動かして自分の部屋のベッドだと確認した。身体はべた付かないし、下着も着ている。  先輩どこ……?  ゆっくりと身体に響かないようにそろそろと起き上がって、ベッドサイドに置かれた時計で時間を確認するとすでに10時を過ぎている。その時計の横には見覚えの無い折畳まれた紙が置かれていた。  「今日って学校だ」  ため息を付いて紙を手に取った。  『ゆっくりおいで』  まあ、午後からでも行けばいいか……。  午前中に行われる全校集会。喋りだした桃香先輩。  俺は何も知らず、誘われるがまま深い眠りに落ちた。        春が起こしに来るまで。              (おわり) 

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