1 / 4

第1話 彼と俺の出会い

「…ねえおじさん、おじさんって性欲有り余ってる人?」  人気のない路地裏に引きずり込んだ彼が開口一番に発したのはそれだった。 「君自分の状況分かってる?これから名前も知らない面識もない人に犯されるんだよ?それも無理矢理。」  強姦願望があったのは否定しない。正直ずっと前から狙ってた。どこか儚い彼の魅力に、みるみる堕ちていった。 「うんわかってるよそれぐらい。で、有り余ってるの?そうじゃないの?」  彼は、怯えることも、怒ることもせず、ただ冷静にそう返してきた。 「まあ答えなんてどっちでもいいんだけど。ね、おじさん。俺ね、小説書いてるの。でね、強姦する人の心情が細かく知りたいんだ。」  彼は、無感情な表情のままそう言った。声は、…どうだろう。その時の俺には分からなかった。 「ねえ、おじさん。俺のセフレになってよ。」  手首は上で縛って押さえつけていたから実際にはなっていないはずだ。でも、その時の俺は確かに感じた。 「…うん、いいよ。」  彼の手が、身体が、気配が、ねっとりと俺に絡みついて、どこかに引きずり込んでいった感触を。

ともだちにシェアしよう!