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……オレの記憶が正しければ、あのど派手な金髪に両耳の黒いピアス姿のアイツは、間違いなく学年一のイケメンと名高い、学園女子にモテモテのクラスメイト、矢代疾風(やしろはやて)で間違いないはずなんだが。
っていうか、何でサッカー部じゃない矢代が勝手に部室の中にいるんだよ…しかも窓も開いたままだし。
ったく、誰だよ最後に部室後にした奴は……いやっ今それどころじゃなかった!!
『ねっねっハヤテぇ♡ 次の日曜はアタシとカラオケいこーよぉ♡』
『ちょっと麻美っ何抜け駆けしてるのよっ!? あなた先週も疾風を独り占めしてたじゃないっ』
『ハァっ!? 先週行ったのアタシじゃないしっ! それっ亜里沙のことじゃん!』
『そうっありさだよぉ奈々ちゃん♡ うふふ~先週のショッピング楽しかったね~はやてくん♡』
『あーもうっギャアギャア耳元でやかましいっつの』
『ははっ! さっすが疾風っ、相変わらずモテまくりだな~!』
『……知らねーし』
……そう、確かそんなリア充まっしぐらな会話をクラスでも中心の女子たち&同じく派手めな外見のご友人の藤堂くんと、ほんのちょっと前の昼休みに教室でしていたと思うんだけど。
そして、そんなぴーちくぱーちくな会話をすぐ近くの席で、親友のもっちーこと望月勝(もちづきまさる)と購買のパンを((リア充乙))と思いながらモシャモシャほうばっていたのが、クラスでも目立たない存在だと自他ともに認める地味メンのオレであったはず……うん、言ってて泣けてくるな…ははは。
――なのにどうして。
「あっ、んんっ♡ はぁいつぐっいつぐ♡ あんっちんこ気持ちいいよぅ♡♡」
えー…めっちゃ自分の息子、擦りまくってるし……わぁもうびちゃびちゃじゃんか、汁ドバドバ。
というか、さっきから何でオレのこと下の名前で呼んでるんだろう。
そもそも矢代、オレの下の名前よく知ってたなぁ。
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