「えっ、な、なんで…だって俺、さっきまで…」 　ドクン、ドクン。脈打つようにそこに熱さが集中しているのがわかる。 　……嘘だろ。どうして、いきなりこんな。 　バッとスウェットと下着を両方まとめてずらし、そこから勢いよく飛び出してきたソレを、まるで信じられないモノを見るようかのように俺は凝視する。 　何が起きたのかわからず戸惑うが、けれども、 　ゴクリっ、 　喉を鳴らしながら。 　そっと、恐る恐るとした手つきで自身の勃起した息子を握った 　――その、瞬間。 『…ははっ。すごいっもうガチガチだね、キミの勃起ちんこは』 　っっっ！！？ 　触れた自分の手に、アイツの――藤枝いつぐの手が、覆うように重なった。 「…あっ、えっ、あ、何だっこれ、」 『わぁ、もう先走り出てきちゃってるよ？　ふふっオレの手、気持ちいいかな？』 「やっ待って、ちがっ…俺っ、そんなつもりなくてっ」 『ここ？　キミの感じる場所はここら辺かなぁ』 「あああっ♡♡♡」 　何だコレっ、なにを想像してるんだ俺はっ……今の声誰のだよっ…俺は何で、アイツを思い浮かべてっ。 　――でも、手が止まらない。 『ちんこ、気持ちいい？　オレの手でちゃんと感じでる？』 「あっ、ああんっ♡♡　いつっ、いつぐの手っ気持ちい…♡♡」 『ほんと？　ヌルヌルいっぱいになってきたね、ああ、ははっ…キミはここが特にイイんだぁ』 「イイっ…あっ、ダメだっそんなに動かしたらぁ♡♡」 『嬉しいなぁ、キミがオレの手で…指でこんなに気持ちよくなってくれるなんて……ふふ、かわいいっ』 「っ……♡♡♡」 　……わかってる。こんなこと、ありえない。アイツがこんなこと言うわけがない……するわけがない。 　こんな、俺が今まで相手にしてきたオンナみたいな声を、俺自身が出しているのも信じられないことだ。 　けれども、俺は。 『すごい、もうパンパンだよ。えっちな音がいっぱい溢れてる…』 「あああっ、はぁっ♡♡　むりぃ…もう俺っ、おれぇ♡♡」 『ああ、そろそろなんだね。じゃあほらっ、オレを見て』 「はぁっいつぐぅ♡♡♡　あぁんっいつ、いつぐぅっ…おれっイクっ、イクっ…」 『うんっ、ね…オレでいっぱいイって――疾風』 「っあああっイクぅぅぅっ♡♡♡」 　びゅっびゅうぅぅ、どぷんっ、 「……は、はぁ……っえ、あ、…なに、お、れ……」 　――そうして。 　ふと我に返り、気づいた時にはもう。 「っ……嘘、だろ……」 　俺の周りには……信じられないくらいたくさんの、白濁色のモノが散りばめられていたのだった。