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胴慾 2
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緋音さんの両手首を片手でまとめて掴(つか)んで押さえつけ、深く口吻(くちづ)けて体中撫ぜて、オレのこと以外考えられないように。
本当に・・・どれだけ心配したと思ってんだか。
電話も出ないし、LINEも既読にならないし。
知り合いや先輩や、ありとあらゆる関係者に連絡して、しかもみなさんオレが知らない人に連絡してくれたりして、緋音さん捜索(そうさく)に協力してくれて迷惑かけまくってしまった。
緋音さんからやっと連絡がきた結果、酔っ払って寝てて、スマホは電池切れだったって。
バカバカしくて、恥ずかしくて。協力してくれた人達に連絡取れたことを報告しつつ、溜息をついた。
緋音さんが無事だったという安堵(あんど)よりも、情けなさの方が強かった。
同時に、それはそれでダメだとわかっている。
怪我もなく無事でいてくれたことを喜ばないといけないって、わかってるけど。
いい大人なんだから、こういうの本当に勘弁して欲しいって思ってしまう。
事故にでもあったんじゃないか。何か事件に巻き込まれたんじゃないか。
そんな嫌なことを、ずーーっとぐるぐる考えて。頭の中ぐちゃぐちゃで、眠れないまま夜が明けていた。
でも本人はこっちの事なんかお構いなしで。こっちが不機嫌なのを、全然意味わかんないって顔で見て来たことに、少しだけ苛々した。
整った呼吸を繰り返す紅い口唇と、真っ白な奇麗な肌と、微(かす)かに震える長い睫毛(まつげ)、スラリと通った鼻筋、細く折れそうな首筋、全部が愛おしくていやらしくて、飲み込んで閉じ込めたくなる。
苛々(いらいら)した。
緋音さんの暢気(のんき)さに。自分がどれほどの人に迷惑かけたのかも、オレがどれほど心配していたのかもわからない、
だから、寝こみを襲うように、のしかかって動けないようにして、口吻けて、緋音さんの気持ちいい所全部まさぐって撫(な)ぜて。
少しは反省してもらわないとね。
起きてしまった緋音さんが、口では嫌だって言いながら、一切抵抗せずにオレの舌を搦(から)めとって、オレの手の動きに合わせて淫らに体を捩(よじ)る。
「はくえ・・・ぃ・・・やだっっ!!」
白い頬が紅(あか)く染まって、大きな瞳が熱に浮かされて蕩(とろ)けるように瞬(まばた)きを繰り返す。
緋音さんの瞳が、体が、これからされることを期待して、渇望(かつぼう)して、貪欲(どんよく)に異常な色気を振りまき始める。
嫌だっていいながら、体は思いっきり誘ってくる。
トロンと蕩けた潤んだ瞳も、熱い吐息(といき)を繰り返す口唇も、露(あら)わになっている鎖骨から胸は桜色に染まって、腰は誘うように嫌がっているかのようにうねって、脚は完全に誘っていてオレの股間に擦(こす)り付けて、上下に扱(しご)いている。
嫌だ嫌だって言いながら、こんな風に誘ってくる。
とんだ淫乱だな。
オレは緋音さんの黒の綿パジャマのズボンと下着を脱がせて、ベットサイドのチェストからローションと、ある物を取り出した。
緋音さんは蕩(とろ)けた瞳でオレを見上げると、オレが手にしている物を見て、驚いたように目を見開いた。
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