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胴慾 9
緋音さんの汗だくの背中をさすりながら、オレの首にしっかりと抱きついている緋音さんに、
「・・・大丈夫ですか?」
「うん・・・何とか・・・」
緋音さんは抱きついたまま離れようとはせず、呼吸を整えようと深い呼吸に切り替えている。首筋に甘い吐息がかかって、ぞくぞくする。
また勃起しそうになるのを我慢しながら、オレは緋音さんの内部から出ようと腰を引いたら、緋音さんが両足でオレの体をがっちり挟み込んで、動けないようにする。
「緋音さん?」
「・・・まだ・・・怒ってる?」
「え?」
緋音さんがそんなことを気にするとは思っていなかった。オレの機嫌なんか、今まで気にしたことなかったのに。
緋音さんはオレの首から顔を起こすと、少し泣きそうな表情(かお)で一生懸命言葉を紡(つむ)ぐ。
「オレ・・・何しても怒んないだろうって甘えてて、だから・・・ごめん・・・」
「緋音さん・・・わかってますよ。もういいです。怒ってないです」
緋音さんは安心したように一瞬表情を柔らかくする。でもそれは一瞬で、すぐにいつもの人を魅了する笑顔を浮かべる。
「本当に?怒ってない?」
「ええ・・・オレのほうこそ、意地悪してすみません」
「うん・・・」
緋音さんがそっと口唇を寄せてくる。
オレは緋音さんの真っ赤な口唇に口吻けて、舌を強く吸い上げる。緋音さんは嬉しそうに楽しそうに、喉の奥でくすくす笑って、オレの舌に舌を搦(から)ませて、溢れる唾液を飲み干す。
同時に腰が妖(あや)しく動き出して、まだ内部にあるオレのを少し出しては、腰を落として奥まで入れるのを繰り返す。
そんなことをされたせいで、オレのは瞬間的に勃起してしまい、緋音さんの内部がみっちりとオレで限界まで広がる。
どこでこんないやらしい事覚えてきたんだよ・・・。いやオレだよね?オレ以外の誰かじゃないよね?
急に不安になるオレを尻目に、緋音さんは少しずつ速度を上げて、腰を上げては下ろしてを繰り返し、にっちゃぬっちゃと音を立てて内部を擦(こす)る。
「ああぁ・・・いいっ・・・はくえぃのぉ・・・おっきぃっ・・・」
緋音さんがオレを挑発するように微笑んで、口唇の端に残った唾液を、真っ赤な舌で舐めとる。嬉しそうに愉しそうに、くすくす笑う。
めちゃくちゃに動きたくて、限界になったオレを見て、緋音さんは腰を下まで落として動くのをやめた。
深い呼吸を何回か繰り返すと、いつもの勝気な瞳で、喉の奥でくすくす笑って、オレを見下す視線で、婉然(えんぜん)と微笑(わら)った。
「ねえイカせて・・・激しくして」
「・・・はい!」
反射的に返事をしてしまった。緋音さんは愉(たの)しそうに、楽しそうに、とても奇麗に微笑(わら)った。
敵(かな)わないな。
絶対に勝てない。
「緋音さん・・・愛してる」
濡れた頬をそっと撫ぜる。
「・・・最低」
そう言って緋音さんが顔を寄せてきて、口吻けをした。
Fin
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