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第3話

「おはよぉ…」「んぅ…」 双子が眠そうに目をこすりながらリビングに入ってくる 今年で小学四年になる二人はまだまだ幼く、甘えたで遥とはまた違っている。 当たり前なのかもしれないけれど、年の離れた妹、弟はより可愛く見えるものだ。 「おはよう、凛音、蓮兎。ほら、先に顔洗っておいで」 彼らの近くに行って頭を撫でれば はぁい、というのんびりした返事をして二人はゆっくりと洗面所の方に歩みを進めた。 二人は異性の双子ではかなり珍しい一卵性双生児である。こんなことはごく稀にしか起こらない。 よく似た顔をしているのに性別は違う。 この子達を見ていると夢の彼女を思い出す。 自分の兄弟には絶対あんなヒステリックな子にはなってほしくないけれど、昔からの付き合いである彼女を今更貶すのもなんだかいい気はしない。 「るーい、…顔色悪いよー、」 「わ、…」 ぽん、と背中を叩く兄さん。 驚いて間抜けな声が出た。 考え事をしていると周りが見えなくなることはよくあるが兄さん相手だとさらに確率は上がる。 ばくばくと心臓がなっていて、深呼吸をする。 「兄さん、驚かさないでよぅ…」 「んん、ごめんってそんなつもりはなかったさ」 かーわーいーいー。と俺を抱きしめる彼はいつでも人を子供扱いする。 此れを他の兄妹がいる前でもするのだから参ったものだ。 兄さんにとっては兄妹間のスキンシップだとしても片思いを続けている自分からすればそうは受け取れない。 半ば諦めている恋心は何年経っても消えてくれない。 寝れない理由も。見たくない夢も。兄さんに捨てられてしまうよりはずっといい。 そう思っているからこそ、未だに笑って暮らしているのだ。

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