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第7話
「では、リフト券を一人10枚配ります」
スキー旅行に来た社員と家族は、それぞれチケットを手に思い思いの場所で楽しみ始めた。
さっそくリフトに乗って上をめざす者、低いところで慣らし滑りを始める者、まだ小学生の我が子を教え始める者……。
スキーは初めての悠希は、当然父の克也が教えてくれるものだとばかり思っていた。
ところが。
「いやぁ、スキーは久しぶりだなぁ! 胸がわくわくしてきたぞぉ!」
克也は、さっさとリフトに乗って上へ向かってしまった。
「父さんの、バカぁ」
ぽつんと残された悠希は、恐る恐るスキー板を履いた足でよちよち歩いた。
滑るなんて、とんでもない。
今にも転びそうなくらい、体が緊張しているのだ。
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