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第20話
「部長、スキー旅行ではお疲れさまでした」
「いや、幹事ご苦労様だったね。狩野くん」
克也は、智久に最高の笑顔を向けた。
「おかげさまでね、悠希のやつもすっかり明るくなったよ」
級友ができ、家に招いて遊ぶこともあるという。
「今週末は、友達の家に泊まりに行く、なんて言い出してな。嬉しいかぎりだ」
「それは良かったですね」
ただ、智久は心の中で付け足していた。
(部長。その友達って、実は私なんです)
智久と悠希は、スキー旅行を機に恋人同士になったのだ。
知らぬは父の克也だけだった。
「では、ここに印鑑をお願いします」
「解った」
(いずれ、お義父さん、と呼ばせてもらいますよ。部長)
智久は、克也に最高の笑顔を向けた。
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