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11.恋する幼馴染

 奏汰 side  最近、颯希とヒロ先輩がやたらと仲が良い。  いや、もともとヒロ先輩が颯希を猫可愛がりしてそれに颯希も満更ではない顔をしていたがそれにしたって仲が良すぎやしないか……二人で遊ぶことも増えたみたいだし。  ……って、何考えてんだ俺は!  颯希に関することだと色々な感情のメーターが振り切れる……  仲良くなった理由は分かっている。  颯希の大好きな作家がヒロ先輩の実兄だったのだ。  あの日、俺を置いて帰った颯希はどこをほっつき歩いていたのか夜遅く、ほくほくした顔で帰ってきた。  とりあえず何の連絡も無しにこんな夜遅くまでほっつき歩きやがって何かあったをじゃねーかって心配しただろーが!と、年頃の娘に説教をする父親みたいな言葉をつらつらと並べれば、最終的に涙目になりながら「そうちゃん、足が痺れた」何て言う颯希の言葉に大きな溜息を吐いて説教を止めた。  その後、颯希の家で晩飯を食べてそのままうちの親までやってきて結果的に泊まることになったのだが、布団に入り、さて寝るかとなった所で突然颯希が俺の肩を揺さぶりながら「聞いてそうちゃん!ビッグニュースなんだよ!!」と言いながら今日あった出来事をマシンガンよろしく捲し立てたのだ。  キラキラした顔で話すあいつの顔は非常に愛くるしがったのだがそんな顔をさせているのが別の男だという事実が気に食わない。  なんて思考に陥りつつも大体の内容を把握した俺は良かったなと、一言だけいいそのまま布団に突っ伏したのだった。 「面白くないって顔だね」 「深月先輩……」 「眉間のしわ、すごいことになってるよ」  そう言いながら俺の眉間をツン、と指先でつつく。 「やめてください」 「えー折角伸ばしてあげようと思っただけなのに~」 「別にんな事しなくていいんで!」 「ん?なんだなんだ~奏汰、何か悩み事か?だったらこのスーパーウルトラ頼れる雅也先輩に相談するといいぞ!」 「眉間のシワって放っておくと取れなくなるんだよ。若いうちからそんなんじゃ歳とったら極悪人面なるぞ~」 「極悪人面って……」 「ちょ!無視するのやめて!!」 「えーだって雅也うるさいんだもん」 「なっ……み~つ~き~」 「お前は俺を怒らせた」なんて言葉を吐き深月先輩を掴もうとする部長の腕をひょいっと躱しながら笑う深月先輩の笑い声と同時に下校のチャイムがなる。  そのチャイムを聞いた瞬間、机にかけていた鞄を掴み「また明日~」と帰る深月先輩を追って「待て!みつきーーー!」と部長が部室を後にする。 「雅也先輩、元気だね。俺らも帰ろっか、そうちゃん」  と言う颯希に「あぁそうだな」と、一言返し鍵をくるくるまわすヒロ先輩に一声かけ、俺達も部室を後にした。 「そうちゃん、なんか笑ってる?」 「あー?……賑やかだなって思っただけだよ」

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