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12.恋する幼馴染

 奏汰 side 「梅雨だねー」 「ジメジメしてるし雨ばっかりだし良い事なんて1つも無いよ」 「みっちゃん先輩でもやっぱり梅雨は苦手なんですね」 「えー颯希、それどうゆう事?」 「みっちゃん先輩って生徒会長だし、頭もいいし、常に落ち着いていて大人っぽいから何か何でもスマートにこなせそうだしあまりそう言った弱音?愚痴?みたいなもの吐き出さないイメージがあって、つい」 「はは、僕だってまだ高校生だしそんな大人じゃないさ。まぁ、一人梅雨とかでも関係なく元気な奴はいるけどね」 「なんだ!どうした?!皆テンション低いぞ、もっと上げてこーぜ!!!」 「何キャラだよ……」  教室に入るなり大きな声でそう言ってきた部長に思わずツッコミを入れてしまう。  そんな俺の言葉はどうやら聞こえていなかったようで黒板の前で立ち止まった。 「はい!みんなちゅうもーーーく!!」 「いちいちそんな大きな声出さなくたって雅也は人の注目を集めるから大丈夫だよ」  何ていう深月先輩の言葉に「ん?そうか」と嬉しそうにする部長に、そこ嬉しそうにする所なんだと心の中で突っ込む。 「そろそろ夏休みだな!って言うことで今年も夏の合宿やるぞ!!」 「「いえーい」」  その部長の言葉に突如深月先輩とヒロ先輩が席を立ち拍手をする。  合宿ってなんだとか、泊まりで?とか、そもそもアニ研の合宿って何すんだよとか、色々なことが頭をよぎったが隣で目をキラキラさせながら 「合宿かぁ……なんだかすっごく楽しそうだね!そうちゃん」  なんて言う颯希を見ていたらどれも口から出ることなく「おう」と言う相槌のみ吐き出した。  まぁこいつが楽しそうならそれでいいか、なんて思ってしまう。  それはそれとして…… 「で、合宿って具体的に何するんすか?」 「ふっふっふ、いい質問だな、奏汰」  俺のそんな疑問に勿体つけながら部長が腕を組む。 「ずばり!キャンプだ!」  ドーン!と言う、効果音が後ろで聞こえてきそうな態度でそう言い切った言葉に俺と颯希は顔を見合わせた。 「まぁキャンプって言っても本格的なものじゃなくて裕の家の別荘を借りてバーベキューとか花火とか好きなアニメや漫画について語ったりする…言ってしまえばただの遊びだね」  なんて笑いながら言う深月先輩の言葉になるほど、と思っていればガタンっと颯希が立ち上がった。 「ど、どうした?颯希」 「裕先輩って別荘持ってるんですか?!」 「うん、まぁ親のって言うか兄ちゃんの別荘なんだけどね」 「龍先生の?!」  目をキラキラさせながら食いつく颯希にまた、変なスイッチが入った……と、溜息をつく。 「はい、はい、話はそこまでにしてそろそろ下校時刻だし帰る準備するよ~」 「はーい」  深月先輩の言う通り外を見ていればすっかり日は傾いており、各々鞄を持ち席を立つ。  そうしてゾロゾロと扉に向かえば深月先輩が「あ、言い忘れていた」と、こちらを振り返った。 「まぁ楽しい楽しい夏休みや合宿に想いを馳せるのも言いけれど、その前にあるテストが赤点だったら夏休み補修だからね、そこの所お忘れなく」  そうやって笑う深月先輩の目は笑っておらず颯希と二人、「「はい!!」」と勢いよく返事をした。

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