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43.恋する幼馴染

 奏汰 side 「「新年あけましておめでとうございます。」」 「いやーにしても本当にすごいな!人だかりが。」 「ねー、毎年思うけどみんなこんな寒い中よく外に出ようと思うよね。」 「まぁ俺達もそうなんですけどね。」 「ですねー。」  新年の挨拶を皮切りにそれぞれ話しながら人混みの中、境内へ向かって歩き出す。そうしてそれぞれ手を合わせてお参りを済ませば雅也先輩が手を叩きながら言った。 「よっし、お前らおみくじ引くぞ~。」 「雅也好きだよね、おみくじ。」 「何言ってんだ、初詣に来たらおみくじを引く。これ鉄板だろ。」 「はいはい。」 「まぁ確かに神社に来たらついついおみくじって引きますもんねー。」 「ですね。」  そうやってわいわい話しながら本殿から離れておみくじの行列に並ぶ。 「全員引いたな。いくぞー、いっせーので!」  雅也先輩の掛け声で各々引いたおみくじを開く。  自分の手元にあるおみくじに視線をやればそこには『大吉』の文字があった。  そして続く言葉を目にして思わず固まってしまった。 『思いを告白しなさい、会うにつれ、想いは深まり、全ては幸せな将来がある』 「そうちゃーん、おみくじどうだった?」 「べ、別に普通だよ普通!!」 「えー今思いっきり隠したよね。何か変な事でも書いてたの?」 「だーから何でもねぇって!そう言うお前はどうだったんだよ。」  思考も体も停止していた俺は颯希の問いかけに思わず大げさに反応してしまった。  そんな俺の反応に疑問を投げかけてくる颯希からの問いから逃れようと逆に颯希に質問を投げかけた。  それに対し一瞬不服そうな顔をしたもののそれ以上追及する気はなくなったらしく、じゃじゃーんと、自分で効果音を出しながら目の前に引いたおみくじを突き出した。 「大吉だったよ~!躍進の年だって!!自分の信じるままに進みなさいって書いてたよ。」 「お、何だよ颯希大吉か。俺なんて中吉だぜ。どう反応するべきか。」 「凶じゃなくて良かったんじゃない?可もなく不可もなくって事でしょ。」  ふふんと、嬉しそうな顔をする颯希に雅也先輩と深月先輩も寄ってきてそれぞれのおみくじについて話し出す。  それをぼんやりと眺めていればいつの間か後ろに周っていたヒロ先輩に後ろ手に隠していたおみくじをひったくられた。 「ふーん、普通ねぇ。」 「あ、ちょっ、」  咄嗟にヒロ先輩の手首を掴もうとした俺の手は逆にヒロ先輩に掴まれた。  そしてそのままグイっと引張られ軸を失った体は前のめりになる。  そうなった俺の耳元で小さく 「ま、告白するなら協力するよ。」  なんて呟かれて、思わず 「余計なお世話です!!」  と叫んだ俺の声に談笑していた3人がなんだなんだと寄ってくるのを面白そうにニヤニヤと眺めるヒロ先輩を見て、新年早々今年もこの先輩に振り回されることになりそうだと出掛ったため息を飲み込んだ。

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