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13.恋する警察官
健斗 side
なんやかんやあって現在、こうして無事恋人という関係になれた俺達はお互いの休みが合う日は必ず俺の家に昴がやってき飯を作ったり俺の汚い部屋を掃除したりと通い妻的なことをしている。
「ただいま戻りました~......って、健斗さん全然部屋片付いてないじゃないですか!」
「わりぃわりぃ」
「だから悪いって思ってないのに謝らないでください!そんなんで俺がいなくなったらどうするんすか......」
「は?何、お前俺から離れられると思ってんの」
「そ、んなことは......」
「絶対ぇ逃がさねーけど」
「っ......」
「高校卒業したら一緒に住むしな」
「......家事全般俺にやらせる気でしょ」
「おー、少しは手伝うって」
もーだなんて言いつつもテキパキ手を動かす昴の表情は呆れた顔をしつつも心無しか嬉しそうだ。
そんな嬉しそうな昴の顔を見ているといつぞやの時と同じように愛おしさが湧き上がってきて、
「わっ」
後ろから抱きしめた。
「もう!急に抱きつかないでくださいよ、倒れたらどうするんですか」
「そしたら俺が支えてやるよ。伊達に警察官やってねーしな」
「そんな所で筋肉の無駄遣いしないで下さい。変な風に足捻って怪我でもしたら危ないでしょ」
「お前って本当に心配性だな」
「健斗さんに関することだけです」
「俺だけ?」
「だって健斗さん危なっかしいから、俺がしっかり見とかないと!」
ふんすっなんて効果音がつきそうな表情をしながら俺の方へ顔を向ける昴は可愛くて
「あーやばい」
「どうかしました?」
「頼むから早く成人してくれ.....」
「俺だって出来るなら早く成人したいです!」
「もー何でお前高校生なの」
「知りませんよ、それを言うなら何で健斗さん俺より11年も早く生まれちゃったんですか?」
「お前が11年遅く生まれてきたんだろ」
「まぁそもそも同い年だったら多分、と言うか絶対こんな関係にはなってなかったでしょうしね」
「おまっ、なんでそんなこと言うんだよ!?わかんねーだろ!」
「はいはい分かん無いですねー」
「何だよその適当なかわしかた……」
「もうこの不毛な話やめません?」
「あー......だな」
今だけは警察官という自分の職業が恨めしい…!
だってほら、やっぱりあれだろ?
一応警察官として市民の手本になる存在だからな。
例え男同士でも未成年に手を出すのはちょっと......な。
ってそんな事を龍に言ったら「付き合ってる時点でアウトじゃない??健って本当に普段自由奔放なくせに変なところで堅いよねー従兄弟君にそっくり!!据え膳なんだから手出しちゃえばいいのに~」なんてケラケラ笑われたがやっぱりダメなものはダメだ!
ってなる自分の性格も恨めしい......
そう心の中で俺が1人で問答していたら腕の中で昴が笑う。
「何笑ってんだよ」
「いやーコロコロ変わる健斗さんの表情面白いなって」
「お前俺の事時々バカにしてるよな」
「そんな事無いですよ?」
「いーや、してる絶対してる」
「あーもう!拗ねないでくださいよ」
拗ねてねーし。
その言葉は音にならず
ちゅっ
消えた。
「ほら、お昼ご飯作るんでちゃっちゃか動いてください。今日のお昼は健斗さんリクエストのオムライス何ですからサクッと作っちゃいますよ~」
そう言いながら俺の腕から抜け出して台所に向かう昴の足取りは軽やかで俺はそんな昴の後ろ姿を見ていられず頭を抱えてその場に蹲った。
「あーくそっ」
顔が熱い。
「健斗さーん」
「わーったよすぐ行く!」
人の気も知らないで台所から聞こえる調子外れな鼻歌を聞きながらあいつ絶対将来泣かすと心の中で決意した。
「あ、そうそう、俺の従兄弟にな俺とお前のこと話したから」
「え?」
「ほら、文化祭行った時にあっただろ、俺に似ておっとこまえの男子生徒。松永奏汰ってんだけど、まぁだからなんか困ったことあればあいつ頼れや、そんでもってなんかあそこの部活?人数やべぇらしいから良かったら入ってやってくんね?」
「え、ちょ、まっ、はぁ?話したって何を?!」
「ん?俺とお前が付き合ってるってことだけど」
そう、普通に答えた瞬間ぱこーんだなんて思いっきり真っ赤な顔になった昴に頭を叩かれて
「もう!もう!健斗さんなんて知りません!健斗さんの馬鹿!!」
と詰められるのはもう少し先の話。
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