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11.恋するアイドル

 陽仁 side  朝、DMに来ていたメッセージは酷くシンプルで場所と時間の指定が書かれており、送り主の情報なんかは当然書かれているはずもなかった。  それだけなら別に無視をしても良いかなだなんて思っていたけれど、最後に書かれていた一文に僕は思わず興味を持ってしまったんだ。 「春日野陽仁君、自分の家族に興味は無いかい?」  何で身バレしているんだとか、僕の家族の事本当に知っているのかとか、そもそも何の目的があるんだとか色々きっと冷静に考えればおかしな点や謎が沢山あったんだろうけれどそれでも僕はその言葉に心が揺れ動いて、知りたいって思ってしまったんだ。  本来ならこういったメッセージが送られてきた時点で事務所なり、マネージャーなり誰かに相談しなくちゃいけないってのが常識的に考えて普通だって分かっているし、理解もしている。  一般の人でも危険なのに僕は芸能人で普通の人より更に気を付けないといけないし、なにかあったら周りに迷惑がかかるって言うことも頭の中にはあった。  けれどそれ以上に僕は僕の中に生まれてしまった好奇心に勝てなかったんだ。  順調に撮影が終わり、現場のスタッフさんや共演者の皆さんに挨拶をしてスタジオを飛び出す。  菖吾さんには迎えはいらないって伝えてあるのでそのまま自分の足で指定された店へと向かう。  指定されたのは小さな隠れ家的な喫茶店で、こんな所にお店があったんだな……なんて感想が浮かんでそうして小さく息を吸ってドアを開けば控えめに鈴の音が鳴る。  奥から女性の店員さんの「いらっしゃいませー」と言う声が聞こえてきて、同時に近くにいた男性の店員さんが席へ案内しようと近づいてきてくれたけれどその店員さんに「待ち合わせです」と伝えれば、「ごゆっくりどうぞ」と、微笑まれて思わず笑顔を返す。  少し緊張が解けた気になったけれどDMに書かれていた席に近づいていけばいくほどにドクン、ドクン、と心臓が大きく音を立て、耳鳴りがうるさいくらい頭の中にがんがんと鳴り響く。  喉はカラカラでこの後の事なんて何も考えられなくて頭の中に浮かんでいるのはDMにあった一文のみ。  そうしてその席の手前で座っていた人が僕に気が付いたのか立ち上がってこちらに視線を向けて言葉を放る。 「初めまして、陽仁君、来てくれて嬉しいよ」  そう、笑った表情や雰囲気が似ているって何だかよくわからない言葉に出来ない感情が胸の奥底から湧きあがってきたんだ。  不意に思い出したのは今朝の夢の内容で、幼い柊真が僕に言葉を投げかける。 『もし、もしもだよ、家族が迎えに来たらどうする?』  あぁそうだ、柊真はあの時、そう聞いてきたんだ。

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