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074 もっと犯したい!:R
あー……紫道 、飛んじゃった。
無理もないか。
久々のセックスで。何度もドライでイッて、潮も吹いて。最後、思いっきり射精して。意識手放すくらい気持ちよかったんなら、いいよね。
思った通り、感度イイ身体で。コントロール不能になって、イキまくってたけど……理性は残ってたのかな。
飛ぶまで、僕を呼んでた。
僕のこと、ちゃんとわかってたのか。それか、ウワゴトだったのか。
どっちにしても。
なんか、嬉しい。
僕とセックスしてたら。僕に突っ込まれてたら。『ちんぽがほしい』って言ったら、それは僕のなんだろうけどさ。
ほかの男のペニスだとしてもかまわないんじゃないの?
いつも、そう思ってた。
みんな、そう見えたし。
そうなるくらい、攻めてたし。
そうなったら、理性なくすほどイイんだなーって。満足だったし。
それでよかったし。
でも。
今。紫道が僕をわかってほしがってたっぽいの、嬉しいんだ。
ちゃんと僕だってわかっててほしいって、思ったことなかったから……どうしてかわからない。理由があるとすれば、やっぱり。
紫道だから、なのかなぁ……うん、そうだよね。
紫道は特別だもん。
3分の1くらい開いたままの紫道の目尻を舐めた。
自分が泣かせた男の涙の味って、いい。意識飛ばしてるこの顔も。
まぁ、快楽でグチャグチャに泣き喘いでヨガってる顔が一番だけど。あと、羞恥に耐えられないって顔と。苦痛に歪んだ顔も、快感プラスでいい表情になるから……見たいな。
「んっ……はぁ……」
紫道のアナルから、ペニスを抜く。まだ、半分勃ってる。欲情が収まらない。
気持ちよかったし。
精神的にも満足したし。
2回出したし。
相手が飛ぶまでやって、すぐまた挿れたいなんて……おかしいでしょ。
「紫道……」
呼んでも聞こえない。
ペニス抜いても無反応だもんね。しばらくは目醒めないかな。
睡姦は好きじゃないから……起こす?
もう少しくらい休ませてあげないと、ひどい?
意識はなくても、紫道の呼吸はまだ速い。ナカもまだヒクついてた。アナルは……。
あー真っ赤。ちょっとめくれてて、精液こぼれて……エロい。
もっと犯したい!
サルになった気分。
やりたいの。
今やったばっかなのに。
自分の欲望が手に余るって、初めての感覚っていうか謎。だけど……悪くない。
いつものセックスみたいに。快楽に堕として縋らせて、気持ちよければいいってだけならそれで十分。
でも、それ以上がほしくて。
それ以上の何かを、紫道がくれる気がするから。
もっとほしくなる!
とりあえず、後始末。
精液と潮まみれで脚開いたまま白目剥いて飛んじゃってるネコ、面倒見るのはタチのマナーだよね。
紫道のナカの精液を掻き出して、身体を拭いて。手枷を外して。下に敷いたベチャベチャのタオルシートを取って。薄い毛布をかけて、終了。
いつもは、相手をこのまま放っといて先にシャワーしにいくんだけど。今は自分も拭くだけにして。ペットボトルの水を飲んでベッドに戻り、紫道の隣に横になった。
まだ意識失ったままの、初めて恋人関係になった男を観察する。
呼吸、ゆっくりになって落ち着いたみたい。
手首、痕ついちゃった。これ、あさっても残ってるな。袖からチラチラ見えるだろうし……將悟 に何か言われそう。
首のキスマークも濃くなった。咬んだとこも傷になってる。
乳首も、ぷっくり腫れてる。ココ、いい反応だった……早く、痛いのも快感になってね。
ペニスは、さすがに萎れてるなぁ……。
毛布剥いで、指先でそっと触ってたら。
「っん……」
紫道が微反応。
そろそろ目醒める頃合い?
先に始めとこうかな。いじって愛撫してれば、起きた時すぐ気持ちいいし……あッ。
せっかくだから、何かオモチャ!
ノーって言われる前に使っちゃえば、いいよね。
オッケーかどうか、聞けないんだもん。
嫌がったらやめるし。
手枷は外したし。
気持ちよくなってれば、ノーって言わないでしょ。
何にしよう。
基本のバイブ挿れとく?
ここはエネマグラ?
乳首ローターとか?
ボールギャグ……は、イマイチか。
尿道プラグは、挿れる反応見たいし。
お湯浣は浴室じゃないと、だし。
んー……。
セフレや1回きりの遊び相手には放置しかしなかったから、悩む。
M字開脚で完全拘束もアリか。
マゾにするなら、無抵抗にしてじっくり……。
でも。
紫道は恋人だから。
本人の意思を尊重しなきゃね。ただの性奴隷にする気ないもん。
S嗜好でも。あくまでセックスでだけ。全部を支配したいとか、ないの。心身壊して所有物にして楽しむ系のサディストじゃないから……。
「あ……れい、じ……」
掠れ気味の声に、振り向いた。
紫道の目が開いて、パチパチしてる。
残念。気失ってる間にオモチャ攻めは出来ず。悩みも消滅。
「起きた? 調子はどう?」
手にしてたプレイ用品ボックスを持って、ベッド上へ。
「だ、いじょうぶだ……」
僕を見て笑みを浮かべるも、ちょっと顔を曇らせる紫道。
「俺、寝てたのか……ごめん」
謝るとか。
かわいいな、もう。
「ていうか、気持ちよ過ぎて飛んじゃってたの。どっかつらいとこある?」
考えるふうにして。それから身体をゆっくり動かして、瞼をピクッと動かして。紫道が首を横に振る。
「ちょっとだけ、腰が痛いが……大丈夫、だ」
よかった。
「まず、水飲んで」
キャップを外したペットボトルを差し出すと。そろそろと上体を起こしてそれを受け取り、紫道がゴクゴクと喉を潤す。
「ありがとう」
「お腹空いてない?」
「腹は……大丈夫だ」
よし。
「じゃあ、やろう」
「は……!?」
素で驚いてるの?
何でだろ。
「まだ0時前だよ。明日休みだし」
まだ、やりたい。
もっと、淫らにしたい。
「そう……だが……」
僕に向ける紫道の瞳が、不安げに揺れる。
「やっぱり、お前……俺じゃ物足りない、か……?」
「え?」
素で驚いた。
「そんなわけないじゃん。足りてるよ。すごくイイから、もっとやりたいの」
微笑む僕を一瞬見つめ、目を逸らす紫道……の視線がボックスへ。
「何……だ、これは……」
「あ。さっきは縛ってやったから、次はオモチャでしょ」
拘束してオモチャ攻めは、さすがにまだオッケーしてくれないだろうし。
「ノーって言われたらやめるつもりで、先に使っちゃおうかなって思ってたんだけどさ。起きたから、聞くね。パッと見でどれがいい?」
「……玲史」
ゆっくりと、紫道が僕に視線を戻す。
あれ?
紫道、表情カタい? 固まってる?
あー見慣れないモノいっぱいあるからかな。コックリングも知らなかったもん。アダルトグッズ選ぶの、難しいか。
いろいろ試して……お気に入りを見つけてあげなきゃね。
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