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075 好きだから……か?:S
固まった。
気づいたら、俺の中に玲史はいなくて。手枷もなく、身体もベトベトじゃなく。寝ちまって、というか。
気持ちよ過ぎて、身体も頭も追いつかなくなって……気失ってたらしく。
出さねぇでイキまくって。
最後のほう、やっと普通に出してイケて。バカみたいによくて……頭が、とけちまったみたいだ。
これがセックスか。
これが、やりたくてやるセックスなのか。
だから、あんなによかったのか。
いや……望んでやったが、性欲を満たすためだけじゃない。
玲史と、やりたかった。
玲史に、欲情した。
玲史が、ほしかった。
好きだから……か?
そうだ。
玲史が好きなんだ……よな?
自信持って言いきれないのは、ただの経験不足で。恋愛感情ってのは、自覚すりゃそうなるもんのはず。
あとは、自分で認めちまえばいい。
そう思いながら、まだ少し感覚のおかしい身体を起こし。玲史の差し出す水を飲み……。
やろうって言われて、驚いた。
すぐに。
意識飛ぶほどよかったのは俺だけで、玲史は満足してないのか……って、不安になった。
そして。
足りてるからもっとやりたいと言われて、身体が熱くなりつつも安心した……のも束の間。
玲史から逸した視線の先に、箱いっぱいのアダルトグッズを発見。
見るからに凶悪そうな形状のバイブ。おかしな曲がり方した何か。明らかに人を拘束するための道具。何の機能があるかわからない、カラフルで小さなモノたち。
こんなのを使う気でいたのか、俺に……俺の知らない間に。
今も。
何故か使う前提の玲史。
どう反応していいか、わからない。
ビビっちゃいないが、嬉しくもなく。
使っていいかって聞かれりゃ、当然ノーだが……。
「何から試そっか。気持ちイイのがいいよね。きみ、思った通り感度抜群だから……開発するの、楽しみ」
玲史がニコニコで。マジで楽しそうにされると、拒否しにくい。
「さっきは僕がガンガン突いたから、まずは短いバイブで緩く前立腺メインで攻める? あ、乳首だけイケるようにするのもいいかな」
「待て」
ダメだ。
やっぱり、ハッキリしとかねぇと!
「お前、やりたい……んだよな?」
順番に。
「うん。まだ夜は長いし」
濃いピンク色のボコボコした細長いオモチャを手に、玲史が頷く。
「もっと気持ちよがらせたいし」
「いや、アレ以上は……」
また意識飛ぶ。もたない。心身ともに。
「俺はさっきので、ものすごく……よかった」
「なら、なおさら。またやりたくなるでしょ?」
聞かれて。
満たされた身体に、新たな欲が湧く。
「そりゃ……」
けど、まだだ。
「きみはやりたくないの? 僕に抱かれたくない?」
「……やりたい」
そう聞かれりゃ、答えはイエスしかないが……。
「けど、待て」
「何?」
「……それは使うな」
玲史の持つオモチャと。
「そっちのも」
アダルトグッズの箱を目で示す俺を見て、玲史が方眉を上げる。
「また縛られたいから? どっちもオッケー」
「そうじゃねぇ」
「拘束オモチャ攻め。泣くほど気持ちいいよ」
「だとしてもだ。玲史……」
思ってることは、口に出そう。
「道具も縛るのもナシで、お前とやりたい」
玲史がニヤリと笑う。
「僕のちんぽ、気に入った?」
「ああ……つうか、玲史」
うまく伝わるかどうか、わからないが。
今。
言う。
「好きだ」
初めての、告白だ。
恋愛の意味での。
口にして、実感する。
玲史が好きだ……これは、友達としてじゃない。
遅くなったが、しっかり自覚した。
やっと、言えた。
「うん。僕も好き」
そう言った玲史の顔が、近づいてくる。
「きみは特別だよ。身体も顔も、中身も好み。だから、抱きたい……抱かせて、今」
「そういうんじゃなく……んっ」
唇が重なる。
口内を舐って舐られて、全身が熱くなる。
少し前にあれだけイッたってのに、下半身が疼き出す。
「ッは……玲史……」
キスの間に押し倒した俺を、玲史が見下ろす。
「オモチャは嫌?」
「……お前がいい」
欲情してる玲史の瞳を見つめる。
「どうしてもっていうなら……今度にしてくれ。今日は、お前がいい。ほかは要らない」
「つまんな……くはないかな。うん、いいよ」
ホッとした。
「縛るのもナシがいい?」
「ああ。お前がよけりゃ……」
「いい」
あっさりオーケーされ。
「抵抗したら縛るけど」
「……わかった」
「あと。ほかは好きにしていいよね?」
続く言葉に、ゾクリとした。
玲史の好きに……させるのは、かまわない。好きにしろって、言ったしな。
サドだっつっても。
セックスのプレイでの話だろうし。
程度はわきまえてるはず。
ちょっと不安が過ったのは……気のせいだ。
「ああ。ただ……痛くするのは控えめで頼む」
声がマジになった。
玲史が微笑む。
「了解。気持ちよくするから」
「お前もちゃんと……」
「大丈夫。きみの中、気持ちいいし。乱れるの見て興奮するし。攻めるのが快感なの。だから、もっと……僕をほしがってよ」
ほしがってる。
ほしがってただろ。
もっと……?
身体がもてば、いくらでもほしがれる。
頭がもてば、何度でも言える。
本心だからな。
「お前がほしい」
見つめて言うと、玲史の笑みが黒くなった。
「もっと。きみに、ねだられたいの」
「は……?」
「泣いて僕をほしがって、かわいくおねだりするきみが見たい」
泣いておねだり……って。
俺が、か!?
普通に考えて……。
気色悪いだけだろ!
「ちんぽちょーだい。早く。もっと。奥にズボズボして、お願い……って、言ってね」
「そ……んな……」
恥ずかしいセリフ、言えるか……。
「う……!?」
いきなり。
身構える間もなく、玲史にグッと脚を上げられ。
「縛られたくないならおとなしくして」
「つッ……ッ!」
アナルに指を突っ込まれた。
「まだやわらかい……」
「れい、じッ……んッ!」
グリグリと中で回される指。ヒヤッとするローションの感触。
すぐに抜かれる指。
「挿れるよ」
「待っ……あ、うッく……ッ!」
玲史のちんぽがアナルに突き刺さり。
痛みと圧迫感に、息が詰まる。
「ケガはさせないから、安心して」
やさしい声で言いながら乱暴に、玲史が俺の中に入ってきた。
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