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076 何がほしいの?:R
今、僕が抱いてる男への欲望は特別で。今までセックスした相手に感じた性欲とは違う、別の名があるはず……そう思えるほど、トクベツだ。
満足してからあんまり時間経ってないのに、もう飢えてる。身体的にも。気持ち的にも。
ちょっとキスしただけで、ペニスはバキバキ。即挿入可。
嫌って言うから、オモチャはナシ。
でも。
紫道 に、ねだられたい。
泣いて。かわいく。もっと。
僕を、ほしがらせたい。
だから。
すぐ挿れた。
早くやりたかったし。
待つ気、なかったし。
さっきまでペニスをくわえ込んでたアナルは、まだやわらかかったけど。2年ぶりに広げられて激しく擦られたせいで、真っ赤になってて。指でちょこっと確認しただけで挿入したら、痛いかなって思って挿れて……痛みに耐える紫道を見て笑みが浮かぶ。
人の身体を痛めつける行為が快感なわけじゃないけど。ケガしない程度の苦痛に歪む顔や苦悶の表情には、そそられる。自分が与えてるなら、なおさら。
セックスでの苦痛は、快感にもってけるしね。
「入ったよ。痛かった?」
遠慮なしに捩じ込んだペニスを止めて聞くと、紫道が大きく息を吐いた。
「いきなり、で……少し、な……もう大丈夫、だ……」
「よかった。ちゃんと勃ってるし、ココも……」
「ッ……んッ!」
カリで前立腺をズズッと擦り、浅いところをゆっくり往復する。
「ほら。期待してる」
「あっ……ッ」
「イイトコにほしい? 奥も突いてほしい?」
答えを求めない聞き方で、続ける。
「気持ちよくなりたいでしょ?」
「玲史……ッ、はぁ……あッ……」
中に入ってるペニスの動きが遅いと、拾える快感がまばらで。すごくもどかしくて。焦れったくて、たまらなくなるはず。
「ほしかったら、おねだりしてね」
デコチューとかしたいけど、深く挿れてないから屈み込めず。代わりに、乳首を軽く弾いた。
「んッ……!」
ビクッと反応し、紫道が僕の腕を掴んだ。
目が合う。
まだ、視線はしっかりしてる。
まだ、全然泣いてない。
羞恥心もバッチリ残ってる。
けど。
欲情して熱い、紫道の瞳。
イイ。
この瞳、涙で光らせたい。
グチャグチャにして、ほしがらせたい。
快楽に溺れて喘いで、言葉なんて忘れさせたい。
それでも。
僕をわかってて。
僕だけを、呼んでよ。
「玲史……」
「ん?」
呼ぶ声に応えたくなるも。求めるモノに反し、腰の動きを止めた。
「何がほしいの?」
わかってて聞く。
「お前が、ほしい」
そう言うと思った。
「あげてるでしょ。セックスしてるじゃん」
「こ……れじゃ、足んねぇ……」
紫道の切なげな顔に、くる。
でも。
「うん。僕も足んない。だから……かわいくねだってよ。うんとやらしく」
簡単にはあげない。
オモチャ攻め出来ない代わりに、羞恥心を差し出してもらうんだもん。
羞恥プレイとしてはライトだけど、手始めはこれで十分。初めてだから、加減してあげるんだ。
経験として。恥ずかしいのって、イキまくる前までで。理性手放したあとは、どんな卑猥な言葉も言えちゃう……口がきける状態なら。
みんな、そうだった。
そうなるまで攻めるのが、快感。
身体も精神も強い男が淫らにちんぽほしがるのが、快感。
セックスの間だけ相手の快楽を支配してるのが、快感。
紫道が相手なら、その快感……きっと今までで最高値になりそう。
「言わなきゃずっと、このままだからね」
耐えられる?
「あ……ッけど、お前だって……」
もどかしくても切なくても、紫道の理性はまだ平常。
「うん。このままだとつらいなぁ……きみのナカ、熱くて……ちょーだいって、くっついてくるし。僕もガマンしてるの」
だから。
早く。
ちんぽほしいって言って。
イイトコもっとゴリゴリしてって。
もっと奥ズクズクしてって。
もっとナカ掻き回してって。
ちんぽ大好きって。
僕とやるの、好きなんでしょ?
「何……でガマン、するんだ……」
「言ったじゃん。かわいくおねだりされたいの」
紫道の問いに答える。
「恥ずかしいこと、エロいこと……言わせたいから。羞恥心ある時に言わせて、楽しむの」
「なん、で……」
「忘れた? 僕がSだって」
「いッつ……ッ! う、あッ……!」
紫道の乳首を捻り上げ。
同時に、腸壁越しに前立腺をペニスでつつく。3度。4度。
「はぁ……あ、れいッじ……」
「恥ずかしがって、ちんぽねだるきみを見たい。それまで、焦らす」
アナルの口ギリギリまで腰を引いて、動きを止める。
「ねぇ、僕を気持ちよくしてくれないの?」
紫道は……自分のためより僕のためのほうが、ねだりやすいかな。
「ずっとこうしてる? これじゃ、キスも出来ないね」
「……お前が、ほしい……もっと……」
自分から尻を上げ、僕のペニスをナカに引き込もうとする紫道。
「ダメ」
揺れる腰を掴んでシーツに押しつける。
「ちゃんと言うまでオアズケ。ほかの根比べなら、きみが勝つかもしれないけど。こっちは僕……強いよ」
趣味と嗜好と快楽への欲なら、場数が違うもん。
でも。
早く降参してもらわないと、キビシイかな。
今日は。紫道相手だと、いつもの冷静さが劣情に負けちゃいそう。
だから……。
「ッ……あ、ふッ……!」
カウパーでヌルヌルの紫道の亀頭に指を這わす。触れるか触れないかのところで、軽く。円を描くように。
「あッ、く……ッ」
前立腺とかペニスとか。弱い快感をちょびっとだけ与えると、何もないよりツラくなる。敏感になる。
お腹空いてる時に一口食べると、食べる前より空腹感が増すみたいに。
ほしいモノが、さらにほしくなる。
「あ……れいじ、お前の……」
顔を赤くして熱い眼差しを僕に向ける紫道に、劣情が刺激される。
「僕の?」
「お前、の……ちんぽ……が、ほしい」
「どこに?」
「……俺の中……ケツの、奥まで……」
紫道の瞳が潤む。
焦らして乞わせて、羞恥心に震える身体を蹂躙するより。
今は。
開いた唇から見える舌に、咬みつきたい。
僕のペニスを包む肉を抉りたい。
その奥を犯して、よだれ垂らして喘がせて……快楽に狂わせたい。
今すぐ!
「奥まで挿れて、どうするの?」
興奮を抑えて。紫道のアナルの中に。ゆっくりゆっくり、ペニスを埋めてく。
「ッあ、お前の……ちんぽで突いて、俺を……とかしてくれッ……!」
掴まれた腕に、指が食い込む。
軽い痛みと、甘い視線にクラっとする。
もっと冷たく焦らして楽しむのもいいけど、もうオッケー。もう無理。
「よくできました」
紫道の腰を抱えて、一気に最奥までペニスを突っ込んで。
「うあッ……つッ……ッ!!! んッ……」
衝撃に息を詰めて濡れた口に、唇をぶつけた。
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